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気温50度のサハラ砂漠をマラソンしてきたモデルの話 #ヤハラサハラ
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実質最後のステージ
サハラマラソンは第6ステージまであるのですが、第6ステージはタイムを計測されず、第5ステージを完走すると完走メダルが貰えるので、この第5ステージが実質最後のステージとなります。
前日のオーバーナイトステージ[86.2km]で、心も体も相当ダメージを受けていたので、42kmのフルマラソンステージは「昨日の半分以下じゃん!やったー!」と距離の感覚がおかしくなっていました。フルマラソンは経験があるので距離や時間の感覚がわかるし、制限時間は12時間。
フルマラソンに12時間もかかるわけないじゃん、と思っていたのですが…
何度も言いますがそれまでの走行距離合わせて約200km。毎日日中50度、夜は10度以下の環境の中で、しっかりした栄養も休息も取れずに体を酷使し続けているわけです。
知らず知らずのうちに相当ガタがきていました。。
砂漠で気づかされたシンプルな生き方
この日も朝食は、アルファ米のドライカレーとインスタント味噌汁を飲みました。
1週間も砂漠を進み続けるのだから、1日2000カロリーじゃ足りないなと思っていたのですが、案外お腹いっぱいになるし、心配していた「飽きる」ということもありませんでした。出発前は「砂漠で一週間も非常食を食べ続けていたらナマモノとか、でき立てのものとか、アイスクリームとか、いろいろ食べたくなるんだろうな」と思っていたのですが、無いなら無いで案外満足できるものです。物に対しても同じ。不便さを感じるのも忘れるほど、有るもので何とかしようと先に思い立つので、無いものをねだるストレスは、私は全くありませんでした。
視界には砂だけ。誘惑してくる広告もないし、すぐ寄れちゃうコンビニもないし、文明国の日本にいるから欲が刺激されて余計なものを欲しがり過ぎていたことに気づかされました。
上級者のパッキング
この日食べたドライカレーは、出国前、似たような砂漠レースをいくつも完走しているという女性からお話を聞いた時に「前回のレースで余ったから」といただいたもので、パッケージには「362/100g」とマジックペンで書いてありました。『これは何の数字ですか?』と聞いたら、「カロリーと重さです。私はわかりやすいように全部の食料に書いていて、1日2000カロリーより余分なものは持っていかないし、1gでも削れるようにジップロックの余白の部分はハサミであらかじめ切りますし、歯ブラシの枝の部分も半分に切って軽くします。」と教えてくれました。上級者になればなるほど荷物の選定や、パッキングがうまくなるとは、こういうことなんだなと思いました。ちなみに私も出発前に半分の長さの歯ブラシを試してみたのですが、私にとって「楽しみ」の歯磨きの時間に受けるストレスの方が大きそうなので、いつも通りの歯ブラシを持ってきていました。上級者になるには程遠いようです。
テントメンバーの運
荷物を片付ける手順にも慣れてきて、出発の準備にかかる時間は減ったはずなのに、体が重くて、むしろそれまでに増して時間がかかるメンバーもいて、スタートの時間が15分遅れることになりました。
「今日乗り切ったらメダルがもらえる!日本にメダルを持って帰れる!」
食料6日分が消化されたバックパックは初日よりもだいぶ軽くなっていてたし、心も弾んでいました。
スタートを待っていたら日本人の参加者が元気な私の姿を見て「いいねぇ、うちのテントは昨日までで3人リタイアしたよ」とポツリ。やはり同じテントにリタイア者がでてしまうとかなり雰囲気も変わるようで様子がちょっと暗い…。疲れもあると思うのですが、私たちのテントには経験者と仙人がいますからね。「さぁ5thステージもがんばろー!」「今日ゴールすればメダルだー!」という私たちとは対照的な暗さで、「乗り切ることができれば・・・メダルが・・・」とちょっと暗い雰囲気でした。
テントメンバーは仲間同士以外は運なので私はラッキーだったな、と思いました。
しかし、なんとかギリギリ毎ステージをクリアしている私ですが、フルマラソン3時間ちょっとの方や、以前サハラ完走している方など、意外な人たちもリタイアしていると聞いて、さらに体の声を聞いて気を引き締めねばならないなと思いました。
「じゃぁ、ゴールで会おう」
と固い誓いを交わして、フルマラソンステージ、スタートです。