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CATEGORY : フィットネス |モチベーション(メンタル)

腸内細菌はアスリートにこそ欠かせない? 海外研究で示されたやる気アップとの接点

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腸内細菌の重要性を示す科学的な根拠が続々と集まってきています。腸内環境を整えるのに役立つヒット商品も次々出てきており、腸活は意識するしないにかかわらず当たり前になっていると言っていいかもしれません。このたび特にアスリートのようにハードな運動が習慣になっている場合、腸内細菌がモチベーションに影響を及ぼしている可能性もあると報告されました。というのも、逆に腸内細菌が減ることで、運動をする気力や体力が低下してしまうと示されたからです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

アスリートは腸内細菌叢が違う

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これまでの研究から、運動すると腸内細菌叢が変化すると判明しています。腸内細菌叢の「叢」とは草むらという意味です。草が生い茂るように多彩な腸内細菌が存在している状態を言います。お花畑を意味するフローラという言葉を使って腸内フローラと呼ばれることもあります。

これまでの研究からいつも激しい運動を続けているアスリートは、ふつうの人とは腸内細菌叢が違うと推測されています。たとえば、米国カリフォルニア大学の研究グループは、動物実験によって運動の効果が腸内細菌叢を変化させると報告しました。何世代にもわたってたくさん運動するように育てた “アスリート”タイプのネズミは、ふつうのネズミと腸内細菌叢が異なっていることを発見したのです。

アスリートタイプのネズミはふつうのネズミよりも自発的に走る距離が長いだけでなく、運動中の体温が高く、食べる量も多いなどの特徴があります。こうした背景には腸内細菌があるのではないかと見られています。

今回、このカリフォルニア大学の研究グループはアスリートタイプのネズミとふつうのネズミのそれぞれに抗生物質を使って腸内細菌を減らした場合にどのような影響が出るのかを調べてみました。抗生物質を10日間投与し、どちらのタイプも腸内細菌の数を検出できないレベルまで低下させたのです。

腸内細菌を減らすと運動したくなくなる?

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こうして判明したのは、腸内細菌を減らすことで運動の体力や気力が低下してしまうということです。

具体的には、アスリートタイプのネズミは1日に走る距離が21%減り、抗生物質の投与をやめてから12日間、回復しませんでした。一方でふつうのネズミは投与中もその後も行動に変化は見られませんでした。また、どちらのタイプのネズミも食べる量や体重は変わらなかったことがわかりました。抗生物質の副作用で具合が悪くなったわけではなく、研究グループはアスリートタイプで見られた自発的な運動の減少には、腸内細菌の変化が大きく影響していると推測。腸内細菌の変化でやる気がダウンしたと見ています。

腸内細菌によって腸内で作られる短鎖脂肪酸などの物質は、体に再吸収されてエネルギー源になるなど、さまざまな機能があることが別の研究からも明らかになってきています。このような腸内細菌が少なくなると、こうした変化のために運動に好ましくない影響が出るのではないかと研究グループは指摘しています。逆に運動のやる気を高めてくれる腸内細菌が存在するかもしれず、研究が進むことで腸活はさらなる進化を遂げそうです。

<参考文献>

Antibiotics wreak havoc on athletic performance
https://news.ucr.edu/articles/2022/06/01/antibiotics-wreak-havoc-athletic-performance

McNamara MP, Cadney MD, Castro AA, Hillis DA, Kallini KM, Macbeth JC, Schmill MP, Schwartz NE, Hsiao A, Garland T Jr. Oral antibiotics reduce voluntary exercise behavior in athletic mice. Behav Processes. 2022 Jun;199:104650. doi: 10.1016/j.beproc.2022.104650. Epub 2022 Apr 30. PMID: 35504410.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0376635722000675

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