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体が整えば、心の余裕も生まれる! 還暦を迎えたTRFダンサー・SAMさんに聞く! 「ポジティブに年齢を重ねるコツ」 後編
1993年にダンス&ボーカルグループTRFのメンバーとしてメジャーデビューし、還暦を迎えたいまもなお、現役プロダンサーやダンスクリエイターとして活躍するSAMさん。近年は健康寿命の延伸をテーマに考案した「ダレデモダンス」の普及や、”人間がよりよく年をとる方法”について追究する学問「ジェロントロジー」(老年学)の習得などを通して、体を動かす楽しさや運動習慣づくりの大切さを広く伝えています。「若い頃は、60歳はもっと“おじいちゃん”というイメージでした。でも実際に自分がその年齢になってみると全然ピンと来ないですね(笑)。何歳になってもいろいろやりたいという想いは強いです」と語るSAMさん。後編では、そんなSAMさんのジェロントロジー的ライフスタイルに学ぶ健康の秘訣をお伝えします!
Contents 目次
和食派で卵は3つ。いま気になる食材は「どんぐり」!
いまも年齢を感じさせないキレのあるダンスを披露するSAMさんが、加齢を実感したのは47歳の頃。体力の衰えから、これまで通りに踊れなくなるかもしれないという危機感を抱き、生活習慣を改善。そうしたなかでたどりついたのが、ジェロントロジーの知識をとり入れた生活でした。
「いまはすっかり朝型の生活です。食事はもともと和食派で、たんぱく質を中心にとることを意識しています。たとえば、朝ごはんは納豆ご飯や卵かけご飯にしたりすることが多く、卵は基本3個ほど食べています。糖分や脂質のとり過ぎに注意はしますが、そんなに神経質な感じに制限はせず、バランスを大切にしています。甘いものは好きで食べるけれど、量は減りましたね」
かつて、トレーナーの指導のもと、当時流行していた脂質・糖質抜きの高たんぱく食を実践する「体内改造プログラム」に挑戦したことがあったそうですが、つらいだけで実感を得られず1週間ほどで挫折。こうした経験からストレスを感じるような極端な食事制限はしないことにしているそうです。
また、ジェロントロジーで食事について学んでからは、老化の一因となる酸化による体へのダメージをどう防ぐか、記憶力を衰えさせないようにするための食品は何かと考えて、食べるものを選ぶようにしているといいます。
「たとえば、酸化から体を守るために抗酸化作用のあるナッツやポリフェノールを多く含んだ食品などをよく食べます。ポリフェノールといえば赤ワインやベリー類がオススメですが、じつは最近どんぐりにも多く含まれていると聞いて、いま、どんぐり茶を試してみようと思っているところなんです。どんぐりって、クマが冬眠に備えるための食料にするくらいなので、栄養も豊富なんだとか。赤ワインだと日中は飲みづらいし、酔っぱらっちゃうけれど、どんぐり茶ならいくらでも飲めそうですよね(笑)」
大切なのは、基本となる自分の生活スタイルをもつこと
健康には運動や睡眠も重要な要素。SAMさんは「自分に合う方法を実践するのがいちばん」とアドバイスします。
「ふだん、スタジオでの筋トレやダンストレーニングは午前中に行いますが、夜も自宅で腹筋や腕立て伏せ、スクワットなどの筋トレを行うのが日課です。この時間は自分だけの時間でもあるので、リラックスして体を動かしていますね。一般的に夜に運動すると興奮して眠れなくなるなんていわれていますが、僕の場合は、まったくそんなことはなくて。もともと寝つきがいいからかもしれませんが、ガンガン筋トレしたあとに布団に入るとぐっすり眠れます(笑)
睡眠は体の疲れをとるだけでなく、脳の休息にも大切です。僕は昔からあまり長く眠るほうではなく、睡眠は大体5時間程度。ジェロントロジーの考え方では、ベストな睡眠時間は7時間程度といわれていますが、それはあくまで目安。人によってベストな睡眠時間は異なるので、睡眠も運動も、自分に合った方法を見つけて実践するのがよいと思います。自分にいちばん合った睡眠時間・運動・食事習慣を組み込んだ“ベーシックな生活”を決めておけば、仕事が忙しかったり休みの日に寝すぎたりしてしまっても、またそこに立ち戻ることで体のリズムをとり戻しやすくなりますし、体が整えば、心に余裕が生まれるので、気持ちもポジティブになってくると思いますよ」
自分が楽しく体を動かせる方法を探そう!
ちなみに、ご自身は「もとから楽天的なタイプ」だというSAMさん。
「悪いことが起きても何とかなる、実際に何か起きたときに対処すればいいと考えちゃうんです。これは長所でもあり、短所でもあるんですけれど(笑)。考え方って人それぞれですよね。自分にはマイナスなことが起こるという前提で物事を考えるタイプの人もいるかもしれませんが、ムリに考え方を変えようとするよりも、僕としては、そういった人にもやはりまず体を動かしてみるというのをオススメしたいです」とアドバイスを送ります。
「もし体を動かすのが面倒だったり、忙しくて時間がとれなかったり…そんなときは日常生活のちょっとした動作をスピーディーにこなしてみましょう。頭の片隅にでも“体を動かす”という意識をしっかりもっておくことが大事です。
ダンスと音楽が心と体の健康に役立つこともわかっているので、僕が考案したダンスエクササイズ『ダレデモダンス』にも取り組んでいただけたらうれしいですが、もしアクティブに動くのはハードルが高いという場合は、ラジオ体操や近所の散歩といったものでも十分。外に出るだけでもリフレッシュになりますし、自宅でできるストレッチやヨガをはじめてみるのもいいでしょう。汗をかくことでデトックスできて、心も動きやすくなります。また、ジェロントロジーからいうと、体を動かす以外にも文章を書いたり絵を描いたり、歌うといった創作・表現活動もオススメです。もしサークルや教室などがあるのなら、そうしたコミュティに入るのもアリ。自分が楽しく続けられる方法を探してみてください」
体が動けば、心も動く。心が動けば、モチベーションも上り、さらに体が動く―。こうした好循環が、年齢を重ねても健康でポジティブに過ごす秘訣。
長年のダンス経験やジェロントロジーを通して、SAMさんは「心が健康であれば体も元気だという考え方もありますが、やはり僕は体が健康で自由に動き回れるからこそ心も元気で過ごせるし、いろいろなことへのチャレンジ精神も出てくるのだと思っています。今後はジェロントロジーの知識や考え方を発信していく仲間を増やし、何歳になってもポジティブに自分らしく過ごしていくコツをさらに多く人に伝えていきたいですね」と力強く語ってくださいました。
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応援購入サービスMakuake で先行販売されていたSAMさんプロデュースの「ポジティブに年齢を重ねる方法を学ぶ【実践型】プログラム」の一般販売が10月3日より始まります! ジェロントロジーをもとにした生活習慣やダレデモダンスなどがオンラインで学べるプログラムです。詳しくはこちら!https://www.gerontology.life/ 【終了】
<Profile>
SAM(サム)
ダンサー、ダンスクリエイター、ジェロントロジスト。15歳で単身NYへダンス留学し、クラシックバレエやジャズダンスの基礎を学ぶ一方で、ストリートダンスやハウスダンスなども修得。あらゆるジャンルのダンスをバックボーンにもつダンサーとして、1993年ダンス&ボーカルグループ「TRF」のメンバーとしてメジャーデビュー。アーティストへの振り付け提供、プロデュース、コンサートのステージ構成・演出を手がけるにとどまらず、近年は南カリフォルニア大学デイビススクール ジェロントロジー学科通信教育課程を修了し、年齢を重ねても健康で楽しく暮らすための生き方を伝えるジェロントロジストとしても活動中。近著は『いつまでも動ける。』(クロスメディア・パブリッシング)。
撮影/田辺エリ 取材・文/番匠 郁