生理痛については数多くの研究が行われ、鎮痛薬だけでなく、じつにさまざまな緩和・予防策が提案されています。これらに加えて、ヨガや有酸素運動など体操の効果も伝えられています。海外研究では、筋トレの代表格「スクワット」が生理痛を緩和すると報告されました。複数のやり方がありますが、特に効果的な方法があるようです。
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3種類のスクワットを比較
生理中に下腹部や腰の痛みだけでなく、頭痛がしたり、吐き気や疲れを感じたりすることを「月経困難症」といいます。また、このような症状があっても、骨盤のあたりにある臓器や組織に異常がない場合は「原発性(一次性)月経困難症」と呼ばれます。これまでの研究では、運動することにより原発性月経困難症に伴う痛みを和らげられることがわかってきました。良い姿勢をとることなどで、こうした効果が現れるようです。
そこで今回、エジプト・カイロ大学の研究グループは、筋トレの代表格で、脚を曲げてしゃがみ込む「スクワット」が、月経困難症を定期的に経験する女性120人にどのような効果をもたらすかを調査しました。
研究グループは、参加者を4つのグループに分けました。第1のグループは、血流をよくするとされるヨガだけを実践するグループです。残り3つのグループは、ヨガと、異なる種類のスクワットを組み合わせました。そのスクワットとは、壁を利用する「ウォールスクワット」、左右に脚を開く「相撲スクワット」、深くかがみ込む「ディープスクワット」です。それぞれの運動の効果を確認するため、研究グループは女性にアンケートに答えてもらい、痛みの程度を評価しました。また、超音波検査で女性の骨盤の角度と子宮の血流を調べました。
生理痛やむくみなどを改善
この研究結果はというと、ヨガにスクワットを加えることで、ヨガだけの場合よりも生理痛が緩和されることがわかりました。ヨガだけのグループに比べて、ウォールスクワットと相撲スクワットを加えたそれぞれのグループで痛みの強さが軽くなり、特に相撲スクワットはディープスクワットのグループよりも大きく痛みの緩和が見られました。
また興味深いことに、ディープスクワットを加えたグループは、ヨガのみのグループと比較して、むくみなどの水分を体にため込む症状の改善が見られました。質問票に基づいた全体的な月経困難症のスコアも、ヨガだけのグループに比べて、相撲スクワットとディープスクワットのグループで大きく軽減されました。
つまり、ヨガだけを行うのではなく、スクワットをとり入れたほうが、生理痛を和らげる効果は高そうだというわけです。スクワットは、骨盤の動きに影響を与え、その部分の血流を高めることで効果を発揮する可能性があるようです。生理痛に悩まされている人は試す価値があるかもしれません。
<参考文献>
Yosri MM, Hamada HA, Abd El-Rahman Mohamed M, Yousef AM. Effect of different squatting exercises on menstrual aspects, pelvic mechanics and uterine circulation in primary dysmenorrhoea: a randomised controlled trial. J Obstet Gynaecol. 2022 Nov;42(8):3658-3665. doi: 10.1080/01443615.2022.2153021. Epub 2022 Dec 15. PMID: 36519235.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36519235/