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誰でも簡単! 口呼吸をやめて感染症を予防する、呼吸コンサルタントが伝授する「呼吸エクササイズ」にトライ
感染症が流行するこの季節に、口呼吸をやめてウィルスから肺を守る「きほんの呼吸」に必要な「呼吸エクササイズ」を紹介します。教えてくれるのは呼吸コンサルタントの大貫崇(おおぬき たかし)先生。呼吸時にそもそも働いているべき横隔膜よりもがんばりすぎている呼吸補助筋にアプローチしていくワークを併せて行いましょう。
Contents 目次
横隔膜の緊張を解く「呼吸エクササイズ」をマスター
ここでは2つの「呼吸エクササイズ」を紹介します。
ひとつ目はお腹と胸を同時に動かす「アンチパラドックス呼吸」です。
「横隔膜が緊張したままお腹か胸のどちらか、あるいはお腹と胸がバラバラに動く状態がパラドックス呼吸。対して息をしっかり吐き切ることで、次に吸ったらお腹と胸が同時にふくらむのがアンチパラドックス呼吸です。このワークでお腹と胸をシンクロさせる感覚をつかみましょう」(大貫崇先生/以下同略)
【アンチパラドックス呼吸】
1.あお向けになり両ひざを曲げ、腰は反らさないように。胸とおへその上に手をあて、ひじを床につけて腕の力は抜きます。この姿勢で鼻から軽く息を吸いましょう。
2.お腹と胸に置いた手が同じだけ下がるように口から6秒ぐらいかけてしっかりと息を吐きます。息を吐き切ったとき、胸とお腹が平らなるのが正解です。
3.お腹と胸に置いた手が同時に同じ高さまで上がるように息を吸います。次に6秒カウントしながら息を吐き切り、3秒間息を止めます。これを10回×2~3セット。慣れてきたら8~10秒かけてさらにゆっくり吐き切りましょう。
◆ポイント
息を吐いたときに全体がしぼんだ感覚があれば、それが正解です。しぼむ感覚を体にインプットすると次に吸ったときにお腹と胸が同時にふくらんでいくようになります。
2つ目は、ろっ骨を下げて横隔膜をリラックスさせる呼吸です。
「最初は胸とお腹に段差がある状態でも、呼吸をくり返すうちにろっ骨が下がり胸とお腹の境目がわからない寸胴状態になるのが理想的です。ろっ骨が下がると必然的に横隔膜の緊張がとれます」
【ろっ骨内旋呼吸】
1. あお向けになり両ひざを曲げ、腰は反らさないように。指を開いて両手を左右のろっ骨にあて、胸とお腹に段差がある状態を確認します。
2.1回息を吸って、6秒カウントしながら息を吐きます。このとき、手でろっ骨が下がっていく感覚を確認します。手でろっ骨を押す必要はありません。慣れてきたら8~10秒かけて長く息を吐きます。これを10回×2~3セット行いましょう。
◆ポイント
吸うときも吐くときもろっ骨が下がり、胸とお腹の境目がわからない寸胴状態をキープできるようになるまで練習しましょう。
横隔膜を邪魔する呼吸補助筋の働きを抑制
次は、がんばりすぎる呼吸補助筋の働きをおさえるマッサージ&ストレッチを紹介します。
「まずは、お腹の正面を走る腹直筋にアプローチします。腹直筋は姿勢を安定させるのに必要な筋肉ですが、みんな過度に腹直筋に頼りすぎているので息を吐いたときにろっ骨が下がるのを邪魔してしまいます。マッサージで腹直筋の緊張をほぐしましょう」
【腹直筋ほぐしマッサージ】
1.椅子に座ってみぞおちのあたり、骨のキワに左右の指をあてます。息を吐きながら、指の腹を使って少し強めにグリグリと2~3分マッサージします。痛みを感じる部分は念入りにほぐしてください。あお向けに寝ながらお腹をリラックスしてやるとより効果的です。
最後は背中の大きな筋肉、広背筋の緊張をとり除くストレッチです。
「広背筋は、姿勢をよくしようとしてがんばりすぎると、腰や胸を反らせてくれるため勝手に息が吸えちゃいます。横隔膜を使わなくても呼吸できてしまうため、深い呼吸ができなくなってしまいます。目指すのは背中の筋肉を使った呼吸ではなく横隔膜を使った深い呼吸です。このワークでは広背筋を伸ばして固定したまま、横隔膜を使って呼吸します」
【広背筋ストレッチ】
1.壁の横に立ち右手で壁の縁をつかみ、うしろに少し下がって足をそろえる。背中を丸めて両ひざを少し曲げて左側に体幹をかたむけて息を吸い、5カウントで息を吐きます。これを4~5回くり返して、反対側も同様に行いましょう。
「呼吸エクササイズ」を継続すると、ろっ骨の動きや呼吸の深さに変化が感じられるはず。正しい呼吸は健康維持の第一歩。うがい、手洗いに「呼吸エクササイズ」を加えて感染症にも負けない体を目指しましょう!
取材・文/北林あい
イラスト/クロカワユカリ