運動やスポーツを楽しんだあとに襲ってくる脚の筋肉痛。これは強い負荷を受けた筋肉が傷ついて炎症を起こし、神経が刺激されている状態です。ひとたび筋肉痛が起こると、日常の何気ない動作が苦痛になってしまうことも...。
そんな不安を感じることなく体を動かすには、どうしたらよいのでしょうか。「スポーツ&サイエンス」代表で、スポーツ・医療系専門学校講師を務める坂詰真二先生に、筋肉痛にならないための"ひと工夫"を伺いました。
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プレ運動とストレッチで運動前後の筋肉を優しくフォロー
辛い筋肉痛を回避するには、運動直前に行う“プレ運動”と、運動直後に行う“ストレッチ”が大切なようです。
「筋肉痛は体の動きにブレーキをかけたときに起こります。たとえば階段の上り下りでは、下りのほうが筋肉痛になりやすいのです。ブレーキが急であるほど筋肉の損傷も大きくなるので、“プレ運動”で脳に筋肉の動きを覚えさせましょう。1~2分ほど、これから行う運動、の類似動作をゆっくり行えばOKです。
例えばランニングをするなら腕をしっかり曲げて早歩きをする。テニスをするなら、その場でゆっくりラケットを振ったり前後左右に足を一歩出す。というようにします」(坂詰先生)
そして、運動直後には、体と脳をリラックスモードにさせることも大切と坂詰先生。
「心地よく感じる程度のストレッチを数分間行いましょう。運動で緊張した筋肉をマッサージでもみほぐすのも効果的ですよ。
また、疲労は体内の糖質エネルギーが減少することで起こるので、すばやく糖分を補給できるスポーツドリンクを飲むこともおすすめです」(坂詰先生)
冷やすor温めるを効果的に利用して痛みをおさえる
運動後にじっくりと行いたいのが脚全体のケアです。冷やすか、温めるかのケアの方法は抑えたい症状によって変わってきます。
「運動によって骨と骨がこすれたり地面からの衝撃を受けると、骨や関節などが炎症を起こします。骨や関節の痛みが気になる場合は“冷やすケア”を行ってください。ひざやすね、足首や足の甲などを、10分間ほどアイシングすると効果的です。
筋肉全体の疲労を回復させたいときは“温めるケア”で。ぬるま湯で温浴をすれば、筋肉の緊張がほぐれてリラックスできるだけでなく、温めることで血液の循環がよくなり、疲れた脚に栄養が行き渡りますよ」(坂詰先生)
運動した日の夜は食事と睡眠にも気を配る
筋肉痛を防ぐ脚のケア、その総仕上げは意外にも食事と睡眠。失われた栄養を補給し、十分な休息をとることがポイントとなるようです。
「筋肉は運動すると分解され、睡眠中に合成されます。運動した日の夕食には、筋肉の材料となるたんぱく質を多く含んだ食事をとること。ただし、一度に消化吸収できるたんぱく質の量は多くありませんので、朝食と昼食でもしっかり摂取しておきましょう。
そして、筋肉の回復には十分な休息が必要です。起きている間は静止していても筋肉は緊張しているので、筋肉を休めるためにも、夜更かしをせず早めに就寝しましょう。睡眠はリズムが大事。運動した日に限らず、規則正しい睡眠を心がけたいですね。
もし翌日以降に痛みが出たら、それは炎症反応による筋肉痛ですので、ストレッチやマッサージでは軽減できません。痛みを和らげるには、湿布などの抗炎症剤を使うとよいでしょう」(坂詰先生)
辛い筋肉痛は、きちんとケアをすることで防ぐことができます。大好きな運動やスポーツを思いっきり楽しむためにも心がけるといいですよ。
FYTTE編集部