「お腹やせがしたくて毎晩腹筋トレーニングをしているのに、なかなか脂肪が落ちないのはなぜでしょうか?」プロトレーナーとしてメディアでも活躍されている坂詰真二先生に、こんな質問をしてみたところ、「筋トレで部分やせはできません」という意外な答えが…。どういうことなのでしょうか?
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■そもそも、ダイエットで部分やせはできない仕組みになっている!?
まず理解しておきたいのは、“太る”というメカニズムについて。坂詰先生は著書『女子の筋トレ&筋肉ごはん』で「太るという現象は、脂肪細胞の中に中性脂肪が蓄えられてひとつひとつのサイズが大きくなること」と解説しています。
そして、食事制限や運動などによって体がエネルギー不足の状態になると、中性脂肪の分解を促すホルモンが分泌され、血液の流れにのって体中の脂肪細胞に“均等に”働きかけます。
ダイエットをすると特にお腹や胸、お尻などがやせたように見えるのは、もともとその部分に脂肪細胞が集中しているから。脂肪細胞の数が多いため、ひとつひとつの脂肪細胞が小さくなるとその部分がやせて見えるようになるのですね。
また、筋トレとは筋肉に刺激を与えて育てるためのもの。筋トレはその筋肉の周りの脂肪細胞を小さくする効果はないので、「お腹の脂肪を減らしたいから、腹筋を毎晩やる!」と頑張ってもお腹“だけ”やせることはできない、というわけです。これは「二の腕を細くしたい」という理由でダンベル運動を行っても、同じことが言えます。
■やせたいなら、ピンポイントより全身の筋肉トレーニングを
しかし、ダイエットを成功させたいならやはり筋トレは必要です。筋肉は何もしていなくても1kgあたり10~15kcalのエネルギーを消費しています。女性だと筋肉の量は体重の約30%。つまり体重50kgの場合の筋肉量は15kgあることになります。筋肉量は何もしなければ20歳頃をピークに落ちていきますので、1kg減ると1日で約15kcalのエネルギーが余ることに。これが365日積み重なれば1年で体脂肪が約800gずつ増えていく計算になります。
「そのぶん、摂取カロリーを抑えればいいのでは」と極端な食事制限をすると、体は筋肉を分解して不足分のエネルギーをまかなおうとするため、筋肉の衰えに拍車がかかることになり、まさに悪循環。
「腹筋も加齢とともに減るから、鍛えることはもちろん大事です。ただお腹だけ、あるいは二の腕だけなど部分的にトレーニングしても、やせることにはつながりません」(坂詰先生)
ピンポイントのトレーニングをするよりも、筋肉が集中している下半身をメインに、腹筋や背筋などの筋肉をバランスよくつけていくほうが、基礎代謝を上げてやせやすく太りにくい体になる確実な方法なのですね。