「走ることはとても非効率な運動」と聞くと、フィットネスやダイエットなどのためにランニングにとり組んでいる人は驚くかもしれません。ですが、研究によると、走る運動はエネルギーの浪費が大きいのです。そんな運動の効率を高めるためにはちょっとした工夫が。足をゴムチューブで結ぶことで、大きな変化がありました。
Contents 目次
走るのがエネルギーの浪費なのは、なぜ?
米国スタンフォード大学の研究グループによると、走るという運動はムダが多い運動だといいます。というのも、エネルギーのほとんどが浪費されている状況だから。人の体にとって走ることは向かない動きになっており、極端に非効率な活動だといいます。具体的には、使われるエネルギーのうち、走る速度を保つために使われるエネルギーは10分の1に満たないという研究結果も。これは、ほとんどのエネルギーは、体重を支えるためなどに使われているからなのです。
研究グループは、この非効率な状態を改善するための手段を検討し、このたび簡単にできる工夫について調べて、その結果を報告しました。
野生のチーターがヒントに!
わかったのは、脚をゴムチューブでつなぐ方法をとると、走るときのエネルギーの利用効率が高められるということ。サージカルチューブと呼ばれる、細いゴムチューブを使って左右の靴をつなぐのです。左右の脚がひもでつながっているような状態です。「そんなことをしてうまく走れるの?」と思ってしまいますが、いわばバネの仕組みで脚の前後の動きが効率的になるというのです。
研究グループによると、その発想の源は、高速で走ることができる野生のチーターだといいます。走るときに、筋肉ではなく、アキレス腱のような「腱」が前後の足をつないで、エネルギーの消費を抑えられているのだと研究グループ。これにならい、研究グループは、効率的に走るための工夫として考案したのです。
どこをつなぐかというと、前述の通り靴の部分です。最初は左右のひざをチューブでつなぐ方法を試したものの、より効率的に走るためには、もっと脚の先、左右の靴を結ぶほうがよかったのです。チューブが脚の動きを助けて、力を効率的に使えるように。脚の開きが短くなり、体重を支えるためのエネルギーも少なく、脚の運びもスムーズになったと研究グループ。使うチューブは、脚の長さの25%の長さのもの。これだと脚の運びを邪魔しないちょうどの長さになるといいます。
研究グループによると、この方法は平地で行う持久走で有効。歩幅を広くとって走りたい人や短距離走、トレイルランニングには適用できないと補足します。ランニングの際の工夫として試してみてもよいかもしれません。
<参考文献>
Fun Run
https://www.news.ucsb.edu/2019/019660/fun-run
J Exp Biol. 2019 Sep 3;222(Pt 17). pii: jeb202895. doi: 10.1242/jeb.202895.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31395676