スマホにPC作業で現代はすっかり「前かがみ社会」ですね。姿勢が悪くなり、肩や腰に弊害が出ています。姿勢改善にはピラティス。ちょっと難しいイメージのあるピラティスですが、「軸を伸ばすこと」を大切にしているので、正しい姿勢を取り戻すのにとても効果的なのです。
理学療法士でピラティスの専門家でもある中村尚人さんの書籍『いちばんよくわかる ピラティス・レッスン』(学研プラス)からお伝えしてきます。
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現代人の体は背骨がつぶれて硬くなっている
正しい姿勢を維持するとき、体ではさまざまな筋肉が働いています。
しかし、筋肉を使わなくてもいい現代社会では、正しい姿勢のための筋力が簡単に弱まってしまいます。
「筋肉を使わない生活を続けていると、直立姿勢を支える筋肉は、どんどん衰えていきます。すると、体は重力によって押しつぶされて、よい姿勢を保つことが難しくなるのです。
その代表的な例が“猫背”や“骨盤の後傾”。
背中が丸くなり、胸が詰まり、顔が前に出てしまうなどの悪い姿勢は、体が重力に負けて押しつぶされた結果です」
スマホ猫背や椅子に座りすぎの骨盤後傾…。
特に日本人に多いのが、骨盤が後傾し、頭が前に出てくる猫背。やせているのにお腹がぽっこりしているのが特徴です。
「姿勢を支える大黒柱である背骨は、肩甲骨や骨盤とつながっているため、腕や脚を大きく使うことでも動き、しなやかさを保ちます。
ところが、車やエスカレーターの利用頻度が高くなり歩く機会は激減。
しかもスマートフォンやパソコンの操作などで、長時間、前かがみ姿勢で動かないでいることも多く、背骨はさらにガチガチに…。
日常の動作や習慣には、背骨をダメにする、さまざまな問題が隠れているのです」
背骨がつぶれると体に不調が現れる
背骨の中でも硬くなりやすいのが胸にあたる胸椎。
「胸椎はろっ骨とつながっているため、特に動かしにくいのです。
胸が硬くなると、代わりに背骨の首や腰にあたる部分が余計に強い撃を受け止めることに。同時に骨の周囲の筋肉にかかる負担も激増し、首や肩、腰に痛みやこりが発生するのです」
姿勢が悪くなるだけではなく、肩こりや腰痛の原因になりやすく、呼吸が浅くなるためやせにくいなど、さまざまな不調が現れます。
ピラティスは「姿勢」を意識する
ピラティスは正しい姿勢を取り戻し、健康的で美しい体に導くエクササイズ。
背骨が健康の指標です。
「正しい姿勢では、すべての筋肉や関節がよい状態になり、正しく働くとピラティスでは考えます」と中村さん。
「正しい姿勢を手に入れるために、もっとも重要なポイントは、『軸を伸ばす(エロンゲーション)』こと。人間の体は重力に抵抗してエロンゲーションをすれば、アライメント(骨格を形成する骨の並び)が整うと考えるからです」。
ピラティスではすべてのエクササイズは、背骨の一つひとつを引き離すような意識で行います。そうすることで重力に負けない姿勢作りが叶うのです。
多くの人が悩む、首、肩、腰の痛みも本をただせば、背骨(胸椎)の硬さが原因であり、ピラティスは痛みのない体へ導くメソッドです。
次回は首こり、肩こりの不調にいいピラティスをご紹介していきます。
文/庄司真紀
参考書籍
中村尚人(著)『いちばんよくわかる ピラティス・レッスン』(学研プラス)