「毎日よく眠れない」、「寝ても疲れが残る」、便秘や冷え性、クヨクヨしがち…。現代人の体と心の不調は自律神経の乱れとどこかで関係しています。そんな不調を解決するのが、自律神経研究の第一人者、医師の小林弘幸先生が運動医学の末武信宏先生と共同で考案した自律神経ストレッチです。平常心を保ち、毎日のパフォーマンスを上げてくれる、科学的に実証されたメソッド。小林先生の著書『小林式自律神経ストレッチ』(末武 信宏監修、学研プラス)からお伝えします。
Contents 目次
自律神経が確実にレベルアップ
現代人はストレスや気温・気圧の異常、環境の変化などで自律神経が乱れがち。
イライラする、だるい、なかなか寝つけないという人は自律神経に原因があるのかもしれません。
そこで小林弘幸先生が考案したのが自律神経を整えるストレッチです。
「自律神経ストレッチは、実際に試した後に、血流や自律神経の数値を測定し、“どのような生体反応があるのか”という検証を積み重ねて生み出されたもの。トッププロを指導しているトレーナー、鍼灸師、整体師などの一流の指導者から意見を聞き、開発しました。ストレッチの前後では自律神経が確実にレベルアップしています」(小林先生)。
細胞によい血液を送り込むためにはどうしたらいいか、どんなストレッチが自律神経の機能のレベルをアップするのか…。
試行錯誤の連続でベースの開発からじつに10年以上!
自律神経を整えるためには、ハードな運動をする必要がないことがわかり、高齢者から子ども、今まで運動をしていなかった人たちにもできるストレッチが完成しました。
自律神経ストレッチ体験談〜腕が上がらなかった五十肩が治った!〜
自律神経ストレッチを実践している方から、腰痛緩和、五十肩が治った、不眠が改善など、体と心が軽くなった体験談が集まりました。その中から、松本妙子さん(54歳・主婦)の体験談をご紹介します。
「自律神経ストレッチを始めて7年になりますが、一番うれしかったのは五十肩が治ったことです。五十肩は、夜眠れないくらいの痛みで、ふだんの家事にも支障をきたすほど。それが手首交差で体を回すストレッチを毎日、朝昼晩と3回するだけで、1週間から10日ほどで痛みが軽減。加速するようによくなって1か月ぐらいで完治しました。最初は痛みを感じないところまで無理をしないように動かしていたら、知らぬ間に腕が上がるようになっていました。痛い、痛いと悩んで病院にまで通っていたころはなんだったのだろう? と思うほどです。ものすごいストレッチです」。
【自律神経ストレッチ】手首交差で体を回す
松本さんが実践する手首交差で体を回すストレッチは、前腕、肩関節、肩甲骨周りの筋肉を刺激します。自律神経を整え、肩こり改善、冷え性の改善、指と腕の筋肉の血流強化に効果があります。以下のステップで行いましょう。
(1)両足を肩幅に開いて、手を頭上に上げ、手首を交差させます。
(2)手のひらをグーにして、スタート。遠くのものをつかむイメージで手のひらをパーにして上体を腰から大きく回していきます。
(3)手のひらでグー、パー、グー、パーをくり返して、2回転します。ひじはまっすぐ伸ばして、ゆっくり呼吸しながら反対側にも回していきます。
「手首を深くロックして、体幹と上半身を一体化させることでさまざまな筋肉が連動して動く、全身を大きく動かすストレッチです。上半身がスムーズに動くようになり、筋肉がほぐれるので指先から肩、肩甲骨にかけてのマッサージ効果も期待できます。全身の血行がよくなって冷え性も改善、自律神経のバランスも整います」(小林先生)。
交感神経、副交感神経の両方とも高く、バランスがいいのが理想的。日中活動的に過ごし、夜はストンと寝られて、疲れをリセットできる人です。現代人にはなかなかこの「元気絶好調タイプ」の人はいなくて、交感神経が高い「がんばりすぎタイプ」の人が多いそうです。
そのほか、常にだるさを感じる副交感神経だけが高すぎる「のんびりタイプ」、両方とも低い「ぐったりタイプ」の4種があります。
定期的に自己チェックしながら、自律神経ストレッチで交感神経・副交感神経ともに高い「元気絶好調タイプ」を目指しましょう。
参考書籍
小林 弘幸著/末武 信宏監修『医師が考案 小林式自律神経ストレッチ―あらゆる不調を改善する、究極のメソッド。』(学研プラス)
小林弘幸先生
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授・日本体育協会公認スポーツドクター。各種研究のなかで自律神経バランスの重要性に着目し、日本初の便秘外来を開設した腸のスペシャリスト。多くのトップアスリートや芸能人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる
末武信宏先生
1962年、岐阜県生まれ。さかえクリニック院長。医学博士(順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了)。トップアスリート株式会社代表取締役。日本美容外科学会認定専門医としてアンチエイジング診療を行うかたわら、順天堂大学医学部非常勤講師としてスポーツ医学の研究を行う。JBC認定プロボクシングトレーナーとして活躍。オリンピック日本代表選手、プロ野球主力選手、ツアープロゴルファー、格闘家、トップアイドルなどのトレーニング指導、コンディショニングを行う
文/庄司真紀