通勤通学に自転車を使っている人も少なくはないでしょう。自転車に乗ると、心地よい風を感じられ、気分は良好。加えて、体を動かすことで運動不足の解消にも。このたび英国の研究グループが分析したところ、がんや心臓血管の病気を防ぐ効果につながりそうだとわかりました。一方で、交通事故などによるけがの危険も確認されたそう。ふだんの通勤通学を考えるうえで知っておいて損はない研究結果です。
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自転車での通勤通学は健康的?
最近の研究から、通勤通学時に積極的に体を動かすことが、ダイエットにつながるなど健康面でメリットがありそうだと注目されています。通勤通学ではひと駅手前で降車し、ウォーキングを日常にとり入れるのはひとつ。また自転車を使うのもひとつでしょう。自転車での通勤通学は日本でも珍しくはありません。一方で、自転車の事故の危険も認識されるようにもなっています。
このたび英国の研究グループは同国の約23万人の男女を対象に、9年間にわたる通勤の状況についてのデータが調査。健康との関連について分析をしています。
がんのリスクまで減らす結果に
そうしてわかったのは、自転車通勤によって健康効果が確認された一方、けがの恐れもやはり存在するという事実です。メリットとしては、心臓血管系の病気が21%減るほか、初めてがんの診断を受ける可能性が11%減り、死亡リスクも12%減ることが判明しました。
調査対象者のうち自転車で通勤していたのは約5700人でしたが、けがをしていたのは7%。一方、自動車で通勤していた人でけがをしていたのは4.3%。自動車や公共交通機関で通勤するよりも、入院するリスクは45%増えて、交通事故になるリスクは3.4倍になることも確認されました。自転車通勤の人にみられたけがは腕や脚のほか、胴体や頭部や首と全身に及んでいました。そのなかには骨折や入院するケースも含まれていました。
今回のデータから計算すると、1000人が自転車通勤に切り替えた場合に10年間で26件の入院が増える一方で、がんと診断される人が15人、心血管の病気になる人が4人減って、亡くなる人が3人減るという計算が成り立つといいます。
自転車の利用は健康にとってよい効果がある一方、転倒や事故には注意することもやはり大切だといます。
<参考文献>
Cycling to work linked to higher risk of injury-related hospitalisation among UK commuters
https://www.bmj.com/company/newsroom/cycling-to-work-linked-to-higher-risk-of-injury-related-hospitalisation-among-uk-commuters/
Welsh C, Celis-Morales CA, Ho F, et al. Association of injury related hospital admissions with commuting by bicycle in the UK: prospective population based study. BMJ. 2020;368:m336. Published 2020 Mar 11. doi:10.1136/bmj.m336
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m336
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32161038/