慣れない自粛生活のなかでストレスが募って不眠症になっている人は多いかもしれません。寝不足が続くと心身ともに健康が損なわれる結果にも。米国の研究グループは、新型コロナウイルス感染症が広がるなかで雪だるま式に睡眠不足が悪化する前から、生活習慣改善に取り組むのが大切として、ポイントを説明しています。日本でも参考になる部分はありそうです。
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睡眠と健康は関係?
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた非常事態宣言は日本全国に広がり、国民全体が外出自粛を求められるようになりました。多くのストレスを感じる人も増えているとみられます。こうしたストレスは睡眠にも悪影響を与えている可能性があります。新型コロナウイルス感染症の問題がない場合でも、睡眠障害に悩まされている人の割合は約30~約35%とみられ、現在は、ストレスが強まり、割合はさらに増加している可能性もあるのです。
このたび米国のハーバード大学では、新型コロナウイルスと不眠症の関係性を解説しており、対処のための工夫を紹介しています。その解説によれば、「現在は、睡眠障害の嵐が起きている。睡眠障害は一種の感染症のようなもの」と指摘。日常生活が阻害されていることで、新型コロナウイルスによるストレスがより悪化しているとの見方を示します。
ペンシルベニア大学の研究によると、短期間の不眠症のうち72%は自然に治るものの、一部は回復に至らず、6.8%は慢性的な不眠症に至ってしまうといいます。これは3か月にわたって週3日は睡眠に問題が生じている状況です。
睡眠不足の解消法とは
これまでにわかっているのは、不眠が続いてしまう心身への悪影響は大きいということ。単純に眠れない悩みが続くだけにとどまらず、糖尿病、心血管疾患、高血圧などの深刻な健康問題を引き起こしてしまうのです。さらにダイエットを難しくする要因にも。最近では、アルツハイマー病をはじめ認知症リスクを増やすこともわかってきました。睡眠不足で健康問題は複雑になり、たとえば、2〜4週間続く不眠症はうつ病リスクを高め、治療の効果を悪化させることも。
今回すすめられている工夫は、よりよい眠りを得るための生活の基本的な心がけについてのものです。いずれも難しいことではありません。
ひとつは、昼寝を避けるか、または20分までとすることとし、夕方の睡眠も避けること。昼寝などをすると、夜の眠たさを感じづらくなるためです。さらに夜更かしは寝だめで補えないとも指摘。日常のリズムを混乱させるだけだといいます。
逆に不眠症を解消するためには、朝に目が覚めたら、散歩をしたり窓辺に座ったり、日光を浴びたりすることが大切。食事と運動は規則正しく行い、就寝の数時間前からはカフェインやニコチンをとらないこともポイント。スマートフォンを眺めるなど、電子機器を扱わないようにすることも心がけたい点です。
どうしても眠ることができないときは無理せずベッドから出て、リラックスするのも重要といいます。寝られない不安がさらに自分を追い込んでしまうためです。
つまり「寝られないときにはムリをしない。いい睡眠に努力は必要ありません」ということ。
眠れない日が多いと感じる場合には、ハーバード大学の示しているこうした対処をするとよいかもしれません。
<参考文献>
Sleep problems becoming risk factor as pandemic continues –Harvard Gazette
https://news.harvard.edu/gazette/story/2020/04/sleep-problems-becoming-risk-factor-as-pandemic-continues/