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いつの間にか「疲れちゃった」が口グセに?! イキイキ暮らしたいと願うあなたに心理カウンセラーがアドバイス!~中島輝のお悩み相談室~
自分でビジネスを切り盛りするのが好き。でも今は夫をサポート。だって夫はいい人だし、2人の関係をこわしたくない。こんな生活に不満があるわけじゃないけれど、なんだか毎日がつまらない。気がついたら「疲れちゃった」が口グセになっていたみたい?! 本当はもっとイキイキとした毎日を送りたい…。そんなあなたへのアドバイスを、相談者の95%の気持ちが回復したと評判の心理カウンセラーであり、自己肯定感の第一人者である中島さんに聞いてみましょう!
Contents 目次
【相談】「疲れちゃった」が口グセの毎日から抜け出したい
バツ2の主婦です。起業家の夫を手伝っています。本当は自分でビジネスを始めるのが好きで、かつては軌道に乗せたこともあります。でもこれまでの結婚生活ではいつも、自分の収入が夫の収入を超えると、夫は働く気をなくしてしまっていました。そんな相手を見ているのがイヤで、結局離婚。
今の夫はいい人ですが、私がビジネスを始めるのには猛反対。私も2度、結婚生活に失敗していますから、今は夫のサポートに回ろうとガンバっています。夫のやり方に口を出すとケンカになるので、そこはとにかく目をつぶって。
最近、疲れたなあと思います。友だちに「『疲れちゃった。なんかいいことないかなー』っていつも言ってるよ。大丈夫?」と指摘されたときは、ドキッとしました。もっとイキイキとした毎日が送りたいです!
【回答】問題から距離を置き、自己決定感を取り戻しましょう
あなたはとてもやさしくて、とてもガマン強く、人に尽くしたいという気持ちを人一倍、持っているのだと思います。そして、2回の離婚を失敗ととらえ、罪悪感や、自分を責める気持ち、自責の念を持っているのではないでしょうか。その罪悪感や自責の念が、いっそう相手に尽くしたり、相手のためにガンバったりするという形で現れているのかもしれません。
また、相手に感謝されてこそガンバれる、感謝される自分にこそ存在価値があるという気持ちが人よりも強いのかも。そのために、過去2回の結婚では、あなたのやりたいことを応援するよりは、あなたに尽くしてもらいたいと思う男性をパートナーに選んでしまったのかもしれませんね。
今のあなたは、「自分のことを自分で決定できる」という感覚である「自己決定感」が低くなってしまっているのだと思います。「自己決定感」は第2回の相談でもとり上げた通り、木に例えると花のようなもの。ものごとを主体的に決めることで高まる「感」です。
また、「自分は何かの役に立っている」という感覚である「自己有用感」を、パートナーのために発揮しなければならないと思ってしまっているのかもしれません。「自己有用感」は、木に例えると実のようなもの。自分らしさを活かして誰かの役に立てるというご褒美のような「感」なのですが、「自己決定感」が低い状態だと、パートナーに「ありがとう」とか「助かるよ」とか「あなたがいてくれたおかげで」というようなことを言われないと、誰かの役に立っているという感覚を得られないという状態になってしまいます。
このような形で自己肯定感が低くなると、自分のことや自分の将来を相手の顔色で判断するようになりがちです。疲れの原因はそこにあるのではないでしょうか。
あなたにおすすめしたいワークが2つあります。
■今回おすすめするワーク:ポジション・チェンジ/解決ノート
感情への見方を変える「ポジション・チェンジ」
ひとつめは「ポジション・チェンジ」というワークです。
大海原を思い浮かべてみましょう。ネガティブな感情を赤いインクだとして、大海原にたらすところを想像します。ペットボトルの水に赤いインクをたらすと水は赤く染まってしまいますが、大海原であれば、何十滴インクをたらしても、水の色は変わりません。ネガティブな感情も同じようなもの。見方を変えればたいしたことではないのです。
ポジション・チェンジは、このようにネガティブな感情への視点を変えるテクニックです。身の回りのものを使って、定位置に収まってしまったネガティブな感情やものの見方をチェンジさせましょう。
例えば、あなたが今、キッチンでコーヒーを飲んでいるとします。テーブルにあるスマホをあなた、コーヒーカップをパートナーに見立て、向き合うように置きます。スマホに置き換わったあなたは、自分でビジネスを始めていないことや、パートナーの仕事のやり方について、ネガティブな気持ちをもっています。そのスマホを、パートナーであるコーヒーカップの立場から眺めるのです。
感情を客観的にとらえる
パートナーはなぜ、あなたのビジネスに反対するのでしょうか。あなたの状態を、パートナーはどのように受け止めるでしょうか。あなたがあなたのパートナーだったら幸せですか?
パートナーの立場で見えてきたパートナーの気持ち、感情を書き出してみましょう。
例えば、次のような文の空欄に、見えてきたものを書きこんでいきます。
「もし、私が( )の立場だったら、( )と考えて、( )する」
〈例〉
もし、私が(パートナー)の立場だったら
(私にお金の苦労をさせたくない/私がゆっくり時間を使えるように/私に家にいてほしい)と考えて、
(私のビジネスに反対)する。
だれでもネガティブな状態のときには、自分のことで頭がいっぱいになってしまい、相手の立場を自分ごととして考えるのは難しくなります。そこで、具体的にものに置き換え、問題を擬人化して自分とその問題を眺めてみるのです。そうすることで、自分の感情を客観的にとらえることができます。
自分の感情や思考などを客観的にとらえることをメタ認知と言います。メタ認知できれば、自分の色眼鏡をはずすことができ、相手のことを考える冷静さをとり戻すことができるのです。相手の言動の裏にある愛情や気遣いなども見えてきて、現状を前向きに受け止めることができます。
自分のネガティブな色眼鏡をはずしたうえで、相手との関係性をどのように次に生かすか、次はどのように行動すればよいかを考えられるようになるのがポジション・チェンジです。パートナーとの関係に限らず、ネガティブな気持ち、負の感情を呼び起こすできごとが起きたらぜひ、このワークを行ってみてください。
「解決ノート」で得られる助けを明らかにする
あなたはやさしくてガマン強く、尽くす気持ちが強いので、ひとりの人との関係に集中するような面ももっているかもしれません。ひとりの人と深い関係を築けることはすばらしい能力なのですが、ときに、自分を手助けしてくれるような周囲の人との関係性を見落としてしまうことがあります。そこで、「解決ノート」というワークもおすすめしたいと思います。これは、解決したいことに対して周囲の人たちがどのように助けてくれるかを明らかにしていくワークです。
まず、あなたが今、解決したいことをノートに箇条書きにしていきます。そのなかで、いちばん解決したいことを、「解決ノート」のまん中に書きます。その問題を解決しようとすると、誰がどんなふうに助けてくれそうかを、周りに書いていくのです。
頼れる部分と頼れない部分が整理できる
もちろん、実際には解決できることもあればできないこともありますが、書きこむことで、周りに助けられる部分が見えてきます。誰かに頼れる部分と、自分がどうにかしなければ進まない部分が整理できるのです。それだけでもすっきりして気持ちの切り替えができ、悩みは軽減されていきます。自分には頼れる味方がいること、それでも最後の決定は自分が下すのだということがわかるでしょう。
他人に助けてもらうなんて……なんて思わずに、気軽な気持ちでとり組んでください。そうやって問題を振り分けること自体が、自己決定感をとり戻すことにつながります。なるべく多くの人や場所、手段を考えることで、解決方法がたくさんあることに気づくことができます。今回は助けてもらわなくても、将来、助けてくれる存在になることだってあります。
そして、解決したらしたいことを、ぜひ、書いておきましょう。楽しいイメージを書きとめることで、深刻になり過ぎることなく行動に移せるのです。
いかがでしたか? あなたに「疲れちゃった」と言わせる何かと距離を置き、客観的に見るために、ポジション・チェンジや解決ノートを利用していくと、自己決定感や、本来の自己有用感も高まっていき、自己肯定感をとり戻すことができるのではないかと思います。
取材・文/寺田千恵
参考書籍
『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)