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「否定的な経験を手放したいのに、手放せない……」悩むあなたに心理カウンセラーがアドバイス!~中島輝のお悩み相談室~
母親からいつも否定されて育った。自分はそんな親にならないと思っているのに、ついつい子どもを否定してしまう。反省するけれど、また感情に任せて子どもをしかってしまう……。こんな悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。負の連鎖を断ち切るのは、なかなかできないもの。否定的な経験もイヤな行為も手放して、明るく軽やかに生きていきたい! そんなあなたに対するアドバイスを、相談者の95%の気持ちが回復したと評判の心理カウンセラーであり、自己肯定感の第一人者である中島さんに聞いてみましょう!
Contents 目次
【相談】否定的な経験が手放せません
私は母親に否定されて育ちました。母親の思うようにできないと「どうしてそんなこともできないの?!」「ちゃんとやりなさい!」「早く準備しておけばよかったのに」と怒りにまかせて怒られました。大人になって母にそのことを話しても、すっかり忘れている様子。私はそんな親には絶対ならないと決めました。
私には娘がひとりいます。まだまだ手のかかる年頃で、ついつい「何やってるの! 早くしなさい!」と声を荒げてしまうことがあります。そんなとき私は深く反省してそのことを日記に書きます。母親のように、自分のしたことを忘れたくないからです。
でも、母にされたツラい経験を私は吐き出すことができず、自分の行為もお腹の中にためこんでいると、いつか爆発しそうです。否定的な経験も自分のしてしまったイヤな行為も手放し、明るく生きていく方法はないでしょうか。
【回答】負の連鎖は止められますよ!
ついつい、イライラして声を荒げてしまう。そんなときは、自分には価値があると思える感覚である、自尊感情が低下し、自己肯定感が低くなっていると考えられます。自尊感情が低くなってくると、イライラが止まらなくなります。イライラがさらなるイライラを作り出し、その感情に翻弄されてしまうのです。
ところで、あなたが子どものころ、あなたのお母さんは怒りにまかせてあなたを否定し、怒っていたのですね。おそらく、お母さんも自尊感情、自己肯定感の低い人だと思います。人間は他人を真似ながら成長していきます。子ども時代のいちばんのモデルは保護者であり、多くの場合、親でしょう。親の自己肯定感が低ければ、子どもの自己肯定感も必ずといっていいほど低いのです。
でも、がっかりしたり、不安に思ったりすることはありませんよ! 自分で自己肯定感が低いかも、ということを認識し、この連鎖を自分のところで止めちゃえ、と思えば、すぐに止められるのです。
■今回おすすめするワーク:エクスプレッシング・ライティング/スリー・グッド・シングス
「エクスプレッシブ・ライティング」で感情を吐きだす
先ほどふれたように、あなたは今、感情に翻弄されがちな状態です。まず、感情を書き出して手放す、「エクスプレッシング・ライティング」というワークをやってみてください。やり方はカンタン、自分の感じている負の感情、ストレスに感じていることを、紙に書き出していくだけです。
注意してほしいのは、自分で制限をかけないようにすること。「こんなこと言っていいのかな」「こんな言葉遣いはよくないな」などと考えてはいけません。だれが見るわけでもないのですから、吐き出すように書き出してください。あなたは自分のイヤな行為を日記として書き記していますが、そうではなく、ネガティブな言動を引き起こすきっかけとなったことに対する感情を吐き出すつもりで書くのです。
たとえば、お母さんに対してだったら、「あんなに私を否定していたくせに!」「『そんなことあったっけ』なんて、どの口が言うのよ!」「よくも○○なんて言葉、言ってくれたわね!」といった言葉に、娘さんに対してなら、感情に任せてかけてしまった言葉になるかもしれません。
また、自分に対して感じるもどかしさも書き出します。「娘にあんなことを言うなんて、母親といっしょじゃない」「自分が情けない」「こんなはずじゃなかったのに」……。
「ま、いいか」「以上、マル」と感情の連鎖を止める
こうしてひたすら書き出したら、それを眺めてみましょう。今、自分が抱えているネガティブな感情をしっかり認識するのです。
いかがですか? 書き出したことは、手放さずにこだわって持ち続けていなければならないような大切なことでしょうか。ネガティブな感情が変化し、「ま、いいか」というふうに小さくなっていくのではないでしょうか。
感情を客観視し、冷静に受け止められるようになれば、「ま、いいか」「以上、マル」とネガティブな感情の連鎖に句点を打つことができるのです。区切りがついたら、書き出した紙をクシャッとまるめてポーンと捨ててしまいましょう。びりびりに破ってもかまいませんし、「さようなら!」と言いながらシュレッダーにかけてもいいでしょう。
娘さんに対してイライラしたときなどには、紙に「腹立った!」「腹立った!」と書いてポーンと投げるだけでもフラットな状態に戻れます。あなたは感情に翻弄される側から、感情をコントロールする側に変わることができるのです。それがわかれば、自尊感情も自己肯定感も高まっていきますよ。
スリー・グッド・シングスで肯定的な自分を発見
もうひとつおすすめしたいのは、第2回「『キレイになって輝く友人にもやもや…』私に幸せは訪れる?! 相談者の95%の気持ちが回復した心理カウンセラーがアドバイス!~中島 輝のお悩み相談室~」でもご紹介した「スリー・グッド・シングス」。
1日を思い返し、3つのよかったできごとを書く、というワークです。日常をポジティブな言葉で表現していくことで、肯定的な自分を発見していくことができます。
「スリー・グッド・シングス」に慣れてきたら、いつもの生活と少し違う、外に目を向けたできごと、新しい経験や発見を書くとよいでしょう。「行ってみたかったカフェに初めて入った」「保育園に子どもを送るとき、一緒に青空を眺めた」など、少しのことでいいのです。小さな変化を自分が起こせている、という感覚があると、自己肯定感が高まります。そうすると、とっさのときにも肯定的になれるのです。
書いたら、「私、よくやってる!」「私ってすごい」と、肯定的な感情でそれを眺めて自分にご褒美をあげましょう。
エクスプレッシブ・ライティングでしなやかに感情をコントロールできるようになり、スリー・グッド・シングスで肯定的な考えや行動ができるようになれば、自尊感情も自己肯定感も自然と高まり、とらわれていた否定的な経験からも解放されることでしょう。
取材・文/寺田千恵
参考書籍
『自己肯定感ノート』(SBクリエイティブ)