withコロナ、afterコロナで注目される免疫力。免疫力を保つにはどのような生活をしたらよいのでしょうか。ニュージーランド産キウイフルーツの輸入・販売をするゼスプリ インターナショナル ジャパン株式会社では、栄養の専門家の先生を招いて食事と運動の面から免疫を高める方策についてオンラインセミナーを開催しました。コロナ禍で生活するためのポイントをまとめていきます。
Contents 目次
免疫力を下げないために知っておきたい5つのこと
1.ダイエットのし過ぎや食べ過ぎも要注意
「免疫低下の原因は、ストレス、疲労、睡眠不足、飲酒、喫煙などですが、免疫力を維持するためにいちばん大切なことは“栄養と食事”になります。低栄養や“やせ”が免疫力低下の原因になる一方で、肥満や糖尿病など過剰栄養も免疫力を下げる一因となるので、気をつけなければいけません」(女子栄養大学栄養学部教授 上西一弘先生)
目安となるBMI の範囲は18~49歳で18.5~24.9となっています。
2.バランスのよい食事をする
「免疫力にかかわる栄養素としては、たんぱく質、DHA・EPA などのn-3系脂肪酸、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、D、E、鉄、亜鉛、銅、セレン、食物繊維、乳酸菌などがあります。免疫力アップによい食品がもてはやされていますが、何かひとつの食材ということでは決してなく、いろいろな食品から栄養バランスのよい食事をするということが大切なのです」(上西先生)
免疫に関与するすべての成分を摂取するのが、科学的な根拠に基づいた方法。亜鉛はかき、銅はたこやいか、セレンはまぐろやいわしなどに多く含まれています。
3.食事ではご飯を抜かない
「バランスのよい食事では、たんぱく質が15〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%の比率が重要です。ダイエットのために炭水化物を抜くのは、たんぱく質や脂質が過多になるためオススメしません。また、抗酸化力の高い食材を適当な量を摂取することで免疫力も保たれることがわかっています。ポリフェノール、ビタミンC、ビタミンEなど意識してとりましょう」(上西先生)
バランスのよい食事には水分も関係してきます。食事から得ている水分は約50%。ご飯を抜くとその分水分摂取量も減ってしまいます。
4.“活動しない”にはリスクがある
「体力には、行動体力と防衛体力という2つの側面があり、防衛体力は寒冷、時差、苦痛などさまざまなストレスに対する体力のことを指します。ウイルスに対する抵抗力もこの防衛体力のひとつ。防衛体力を維持するためには運動したり、日常で活動的に過ごすことが大きく役立つことがわかっています」(駒沢女子大学大学院健康栄養学科准教授 田邉 解先生)
スポーツだけではなく、日々の活動量を少なくしないようにしましょう。
5.適度な運動が免疫力を上げる
「適度な運動習慣のある人では、運動習慣のない人に比べて免疫力が上がり、風邪をひきにくくなりますが、運動強度が上がり、アスリートレベルの運動強度になると、運動習慣のない人よりも免疫力が低下しやすく、風邪をひきやすくなります。一般の人でも激しい運動を行ったあとは、免疫力が下がってしまう可能性があるので、栄養摂取や手洗いなどの予防法で感染症を防ぎましょう」(田邉先生)
強度の高い運動をしたあとは、不足しがちなビタミンやミネラルも忘れずに摂取すると代謝によいだけでなく感染症対策にもなります。
ダイエットで過度な食事制限や強度の高い運動を長時間続けたりするのは、今の時期は避けたほうがよさそう。適正体重を維持するために、バランスのよい食事と体を動かす習慣を心がけたいですね。
文/庄司真紀
【プロフィール】
上西一弘
女子栄養大学栄養学部教授。栄養学博士。徳島大学医学部栄養学科卒業。食品関連企業に就職し入院患者向けの流動食の開発にたずさわる。1991年より女子栄養大学に勤務。食べることを一歩進め、選手のパフォーマンスが上がり勝てる体をつくるためのスポーツ栄養学を研究し、指導を行う。
田邉 解
駒沢女子大学大学院健康栄養学科准教授。体育科学博士。筑波大学の研究員を経て現職。運動生理学を専門とし、サルコペニア肥満、筋量、生活習慣病など、栄養と結びついた運動機能の研究を続ける。