世界中で10億人以上が悩まされているという片頭痛。症状や誘発要因はとても多様なため、医薬品を含め予防療法がなかなか効かない人も多いのが難点。そうしたなか、海外から効果がありそうだと報告されているのが鍼治療。片頭痛の日数や回数を減らしてくれるといいますが、その実力は?
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一般的な予防療法と組み合わせたところ…
頭痛に悩む人は、男性であれば50人に1人、女性は20人に1人くらいに認められる症状だと国内の統計では報告されています。
今回、中国の研究グループは「前兆を伴わない片頭痛」に悩む人のうち、過去に鍼治療を受けたことがない147人を対象として鍼の効果を検討しました。対象者を3グループに分け、ひとつのグループには一般的な予防療法に加えて鍼治療を20回実施。もうひとつのグループには、予防療法に加え鍼治療ではなく偽の鍼治療を20回実施。さらにもうひとつのグループは予防療法のみ実施。それぞれのグループに8週間にわたって施術などを続けて、片頭痛への効果を比べたのです。
なお、「一般的な予防療法」というのは、カナダ頭痛学会の片頭痛ガイドラインに従って、片頭痛の誘因を調べてライフスタイルを変えることに加え、重い場合は薬を服用するというものです。「偽の鍼治療」では、ツボではないところに浅い鍼を使っています。
治療終了した時点からの12週間を含め研究開始から20週間、片頭痛があった日数と回数を4週間ごとに合計し、施術によって片頭痛がどれくらい減るかを比較しました。
効果が長く継続
ここから見えてきたのが、本物の鍼治療は施術終了後に片頭痛を減らす効果が現れていることです。偽の鍼治療グループや予防療法のみのグループと比べて、片頭痛の日数が減っていました。偽の鍼治療と比べると、片頭痛の日数が13〜16週目で1.4日、17〜20週目で2.1日少なくなっていたのです。鍼治療自体は8週間だけ行っているので、施術を終了してから差が現れたことになります。
研究グループは、鍼治療を片頭痛の予防のために加えるよう提案しています。片頭痛のズキズキとした痛みが出てくると、日常生活には大きな悪影響が及んでしまいます。予防手段がなくて困っている人は、鍼を試してみてもよいかもしれません。
<参考文献>
厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html
Acupuncture can reduce migraine headaches
https://www.bmj.com/company/newsroom/acupuncture-can-reduce-migraine-headaches/
Manual acupuncture versus sham acupuncture and usual care for prophylaxis of episodic migraine without aura: multicentre, randomised clinical trial
BMJ 2020; 368 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m697 (Published 25 March 2020)
https://www.bmj.com/content/368/bmj.m697
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32213509/