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CATEGORY : ヘルスケア |女性ホルモン

更年期症状の重さに片頭痛が影響? 海外研究から明らかになった意外な関連性

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女性なら誰でも経験する可能性がある更年期症状。海外の研究では、20〜30代で片頭痛を経験した女性は、更年期に差しかかると、「血管運動神経症状(VMS)」と称されるホットフラッシュや寝汗などの症状が重く、長引きやすいことが明らかになりました。また、このような更年期症状と片頭痛の両方が続くと、心臓や血管の病気、脳卒中になるリスクが高くなるそうなのです。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

35年にわたる追跡データを分析

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更年期症状は、卵巣機能の低下にともなうエストロゲン(女性ホルモン)の分泌低下を原因とした自律神経の失調によるものと考えられています。エストロゲンは体のさまざまな場所で大切な働きをしており、血管を広げたり、コレステロールの代謝を助けたりと、心臓や血管の保護もそのひとつ。そのため、エストロゲンが減ると心臓・血管の守りが弱くなって、その働きに影響する可能性があります。

更年期症状のなかでも、ホットフラッシュや寝汗などは「血管運動神経症状(VMS)」と呼ばれ、血管の拡張や収縮に関係した症状とされています。一方で片頭痛もこのような血管の動きが関係しています。そのため、過去の研究では、ホットフラッシュや寝汗、片頭痛と心臓や血管の病気とのつながりが示されているそうです。

そこで今回、米国の研究グループは心臓や血管の病気につながる危険要素を知るために、5000人以上の男女を追跡調査している長期の大規模研究のデータを使って、VMSのリスクを高める要素を探るとともに、VMSと心臓や血管の病気、さらに片頭痛との関連性について調べてみました。

追跡調査では、身体検査や血液検査、健康チェックなどを定期的に行っていますが、研究グループは参加者のうち2000人近くの女性について、参加時点(18〜30歳、平均年齢25歳)と15年後、それから35年後までのデータを分析。それぞれの結果を2つの研究として報告しています。

特に高リスクの人は早めの予防が大切

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これらの研究で確認されたのが、まず、33〜45歳以降にホットフラッシュや寝汗などのVMSが長く続くケース(全体のおよそ3分の1)には、18〜30歳時点での片頭痛やうつ症状、喫煙などの要素が関連することです。そして、33〜45歳時点で片頭痛と持続的なVMSの両方がある人は、心臓や血管の病気や脳卒中になるリスクが高くなることもわかりました。

VMSが持続しているケースはおよそ30%の人に見られ、そのうち23%の人に片頭痛もありました。このVMSと片頭痛の「両方が見られるグループ」は、「片頭痛の有無にかかわらずVMSがほとんどないグループ」(43%)、「しだいにVMSが増えているグループ」(27%)に比べて、心臓や血管の病気、脳卒中のリスクが1.5〜1.7倍高くなりました。これは、心臓や血管の病気に関して知られている危険要素(血圧や血糖値、コレステロール値、喫煙など)の状態を考慮に入れても、同様の結果です。

VMSの頻度や片頭痛の有無だけでは、独立した関連性は見られなかったため、VMSの持続と片頭痛の両方がある場合にリスク増加につながると考えられるそうです。

ただ、危険要素を考慮しないで分析するとリスクはもっと高くなったことから、血圧や血糖値の管理、禁煙、運動、ヘルシーな食事や睡眠などの予防策をとれば、リスクを下げられるのではないかと、研究グループは説明。成人初期に片頭痛があった人や、VMSが長く続いていて片頭痛もある人は、特にリスク管理と早めの予防が大切と指摘しています。

<参考文献>

Menopause and migraines: New findings point to power of prevention
https://www.michiganmedicine.org/health-lab/menopause-and-migraines-new-findings-point-power-prevention

Prospective early adulthood risk factors for vasomotor symptoms in the Coronary Artery Risk Development in Young Adults study
https://journals.lww.com/menopausejournal/abstract/2024/02000/prospective_early_adulthood_risk_factors_for.5.aspx

Kim C, Schreiner PJ, Yin Z, Whitney R, Sidney S, Ebong I, Levine DA. Migraines, vasomotor symptoms, and cardiovascular disease in the Coronary Artery Risk Development in Young Adults study. Menopause. 2024 Mar 1;31(3):202-208. doi: 10.1097/GME.0000000000002311. Epub 2024 Feb 13. PMID: 38350045; PMCID: PMC10940187.
https://journals.lww.com/menopausejournal/abstract/9900/migraines,_vasomotor_symptoms,_and_cardiovascular.284.aspx

40代で体の不調を感じたら「更年期」かも? 更年期症状のしくみや、快適に過ごすためのケア方法をドクターが解説!
https://fytte.jp/news/healthcare/186747/

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