かつては不治の病と恐れられたがんも、生活習慣の改善などで予防にもつながるとわかってきています。たとえば、アルコールやたばこを控えたり、健康的な生活に改善したりするのが大切。このたびがんのなかでも日本人にも多い胃がんと生活習慣との関連について海外から報告がありました。食欲を高め夏バテ撃退にも重宝がられるにんにくが効果的だそう。
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胃がんの多い地域で20年以上も調査
胃がんは世界のがん死亡の第3位に挙げられるほどで、世界各国で予防対策の研究が進められています。日本でもがん死亡の第3位です。性別では男性で2位、女性で4位と注意すべき病気のひとつといっていいでしょう。
今回、胃がんと生活習慣との関連について研究が報告されたのは中国です。中国北西部にある山東省の地域は、胃がんによる死亡率の高さが世界で最も高い地域のひとつだそう。いくつかの研究でこの地域での胃がん多発と喫煙や食事といった生活習慣には関連があることが示されており、そんななかで、中国の研究グループはあらためて生活習慣の胃がんへの影響、ビタミンおよびにんにくサプリメントによる予防効果を調査しました。
胃がんリスクが高い13か所で、胃カメラ検査に同意した35~64歳の男女3365人をランダムに、ビタミンサプリメントをとるグループ、にんにくサプリメントをとるグループ、それぞれの偽薬をとる3つのグループに分けて7.3年間飲んでもらいました。胃がんのリスクを高めるとわかっているピロリ菌が見つかった参加者はピロリ菌の除菌を2週間受けています。
そのうえで、1995年7月~2017年12月までの22.3年間の調査期間中の胃がんの発生率及び死亡率と生活習慣の関連性、各サプリメントの予防効果を分析しました。
お酒を飲まない人ににんにくが有効
こうして明らかになったのは、にんにくサプリメントが胃がんのリスクを低下させる可能性があるということです。
全体的に見ると、2017年までの調査期間中に胃がんの発生は151ケース(4.5%)あり、胃がんによって死亡したのは94人(2.8%)。にんにくサプリメントの効果が見られたのは、飲酒をしない人に限られていましたが、まったくアルコールを飲まない人は胃がんの死亡率が67%も低下したのです。ビタミンサプリメントと生活習慣には、このような関連性は示されませんでした。そのほかの発見としては、喫煙していると胃がんの発症率が1.72倍、死亡率が2.01倍高くなるということ。
胃がんの予防に新たな視点をもたらしてくれると研究グループ。日本でもにんにくサプリメントは売られていますが、単純に栄養素を補給するばかりではないメリットを期待できるのかもしれません。
<参考文献>
Guo Y, Li ZX, Zhang JY, et al. Association Between Lifestyle Factors, Vitamin and Garlic Supplementation, and Gastric Cancer Outcomes: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2020;3(6):e206628. Published 2020 Jun 1. doi:10.1001/jamanetworkopen.2020.6628
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2767674
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32589229/