ジンジャーやシナモン、カレーでおなじみのターメリックなど、さまざまな効能が期待されているスパイス類。料理などでは数種類を混ぜて使う場合が多いものですが、このたび、脂肪や糖分の多い食事をとったときに、そのようなミックススパイスを一緒にとると、食後の体への負担を減らせるという報告がありました。
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スパイスで健康的になる?
肉や乳製品に多いとされる「飽和脂肪酸」、ご飯やパスタなどを作るための精製した炭水化物、砂糖がいっぱいの飲みものなど、体に悪いとわかっていても、食べ過ぎてしまうことも。もっとも、多くとるとやはり体には負担になります。体のなかでは免疫系が過度に働くようになって、炎症反応を起こすのです。この炎症反応が長引くと、メタボリックシンドロームと総称されるさまざまな病気につながり、心臓や血管の重い病気の入り口にもなります。
米国ペンシルベニア州立大学が着目したのは、さまざまなスパイスをブレンドしたミックススパイスの効能。ジンジャーやシナモンなど、単体では抗炎症作用が証明されているスパイスもあるのですが、複数を組み合わせた効果について調べたのです。
BMI 25〜35と体重が重めの12人を対象として、高脂肪および高炭水化物の食事(ココナッツ・チキン・カレー、コーン・マフィン、シナモン・ビスケット)をとってもらい、ミックススパイスを合計2gまたは6g、さらにこれらに調理に加えた場合と加えない場合とで、食後の血液の分析で調べた炎症反応を比べてみました。
ミックススパイスは炎症を抑える効果が報告されている13種です。その内訳はバジル、ベイリーフ(ローリエ)、ブラックペパー、シナモン、コリアンダー、クミン、ジンジャー、オレガノ、パセリ、レッドペパー、ローズマリー、タイム、ターメリック。
「6g」で効果あり
こうしてわかったのは6gのミックススパイスを加えた場合、加えなかった場合に比べて、食後の体内の炎症反応が減るということ。2gでは炎症反応を減らす効果は見られず、一定の量は必要であると想定されます。研究グループによると、スパイス類には多様な抗炎症作用が期待できるので、さまざまな種類をミックスすることで、1種類よりも相乗効果が得られるといいます。
スパイスを食事にとり入れると食欲も増進できるので、夏の疲れをとるにはうってつけですが、さらにメタボリックシンドロームのほか、心臓、血管の病気を避けられるならなおよし。炎症反応を抑えるだけに、体内を「クールダウン」できるともいえそうです。カレー、タイ料理、中華など、スパイスの効いたアジアの料理をさっそくいただきたいですね。
<参考文献>
Adding a variety of spice to food may benefit health
https://nutrition.org/adding-a-variety-of-spice-to-food-may-benefit-health/
Oh ES, Petersen KS, Kris-Etherton PM, Rogers CJ. Spices in a High-Saturated-Fat, High-Carbohydrate Meal Reduce Postprandial Proinflammatory Cytokine Secretion in Men with Overweight or Obesity: A 3-Period, Crossover, Randomized Controlled Trial. J Nutr. 2020;150(6):1600-1609. doi:10.1093/jn/nxaa063
https://academic.oup.com/jn/article/150/6/1600/5811497
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32211803/
Basu A. Spices in Meals: A Novel Approach to Cool Down Inflammation. J Nutr. 2020;150(6):1348-1349. doi:10.1093/jn/nxaa099
https://academic.oup.com/jn/article-abstract/150/6/1348/5818729?redirectedFrom=fulltext
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32275313/