夏の野菜はさまざまですが、代表格のひとつといえるのは苦瓜でしょう。沖縄の苦瓜、ゴーヤを使った沖縄料理のゴーヤチャンプルーや浅漬けにして食べると、その苦みもあって体にもよさそうにも感じられてきますが、果たして元気回復の実力はいかほどなのか。暑い環境でアスリートがトレーニングしたあと、疲れに対して苦瓜がどのような影響があるのか、海外から研究報告がありました。その効果とは。
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苦瓜は疲れに効く?
苦瓜の旬は夏。夏になると、濃い緑のゴツゴツとした実がたわわになるのを目にすることも。食べると苦いのですが、暑さで食欲がなくなったときには、なぜか食欲を促してくれるような気もします。体を健康にしてくれる効果もありそう。抗酸化や抗炎症の効果があることが知られており、新陳代謝を促し、疲労回復につながると考えられています。
日本の筑波大学と韓国の研究グループが、アスリートの疲れを調べる研究のなかで、苦瓜の効果を検証して、発表しています。疲労を癒してくれる効果を調べるために、暑い環境のなかでアスリートにトレーニングをしてもらって、苦瓜の抽出物を摂取してもらい、疲労にどのような効果があるのかを調べたのです。対象としたのは、10人のテニスプレーヤーです。研究では、疲労に関連すると考えられる、血液のアンモニアや尿素、神経のセロトニン、ドーパミン、プロラクチンを調べ、苦瓜を摂取することによる効果を調べています。
疲労を癒す効果を確認
わかったのは、疲れを癒してくれるような効果が苦瓜にはありそうだということ。苦瓜の抽出物を摂取したあと、アンモニアの値は、運動の間とあとに増えており、翌朝に回復していました。尿素は同じように変化していませんでした。セロトニンについては、運動の間に低くなり、ドーパミンは高くなり、運動の間の特に高くなっていました。プロラクチンはどの時点でも低くなり、特に運動の間とあとで低くなっていました。
激しい運動をすると、暑い環境のなかで疲れに関係する代謝物は増えてきます。ですが、苦瓜の抽出物を摂取し続けると4週間で、疲れの関連する検査値でみた「疲れの程度」が改善する可能性があると示されました。研究グループは苦瓜が疲れを癒やしてくれるのではないかと推定しています。
まだまだ基礎的な研究ではありますが、疲れをとるときには少し参考にしてみてもよいかもしれません。
<参考文献>
Kwak JJ, Yook JS, Ha MS. Potential Biomarkers of Peripheral and Central Fatigue in High-Intensity Trained Athletes at High-Temperature: A Pilot Study with Momordica charantia (Bitter Melon). J Immunol Res. 2020;2020:4768390. Published 2020 Jun 8. doi:10.1155/2020/4768390
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32587872/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7298321/