筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、人口10万人当たり1~2.5人がかかる難病。著名人の発症が報道されるなどしてご存じの人も多いはず。原因はまだよくわかっておらず、世界で研究が進行中です。そうしたなか、発症の可能性を高める原因についての研究も行われており、このたび意外な原因が関係しているとわかってきました。
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なぜ発症するの?
ALSは手足やのどなどの自分の意志で動かす筋肉が徐々にやせてきて力を出せなくなる病気です。筋肉自体が病気になるのではなく、筋肉をコントロールする神経に異常が起きるのが特徴です。体は動かないのですが、そのほかの体の感覚、視力や聴力、内臓機能などは保たれます。原因については研究が進められていますが、いまだに完全な解明に至っていません。最近では、京都の女性がALSをわずらって医師に自殺幇助を依頼し、その医師が実施したのはという疑いで逮捕されたことで大きく注目されました。その前には、美容家の佐伯チズさんが罹患して亡くなったことでも認知が広がりました。
このたびイタリアのモデナ・レッジョ・エミリア大学の研究グループが調べたのは、ALSになった人にどのような特徴があるのか。ALSは遺伝との関係も研究されていますが、遺伝以外の要因がどのようにALSにつながるかを分析したのです。ALSになった95人と、ALSではない135人のグループについてそれぞれの生活習慣などから違いを調べました。
ガーデニングでの農薬の使用などが関係?
判明したのは、いくつかのけがの経験や特定の生活習慣がALSのリスクを高める傾向があったことです。特に関係していたのがけがの経験で、特に頭のけががALSの発症に関係していました。頭のけがを経験している場合にリスクは2.61倍となっていました。さらに、電気ショックを受けたことのある人は2.09倍に。井戸水を飲んでいる人やガーデニングで農薬を使っている人も関連が確認されました。逆に魚を食べている人は、ALSのリスクが低く、0.27倍となっているとわかりました。ただし、魚を食べれば食べるほどALSになりにくいという量との関係は確認されませんでした。
研究は100人単位という少数の人数を調べたものなので、これで決定的というわけにはいきません。ですが、生活習慣などとALSが関連している可能性について今後注目される可能性もありそうです。また、今回の研究にありましたが、魚を積極的にとることは、ほかの面でも健康的だと思いますから、ふだんから食べるよう心がけるのはよさそうです。
<参考文献>
筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)(難病情報センター)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/52
Filippini T, Fiore M, Tesauro M, et al. Clinical and Lifestyle Factors and Risk of Amyotrophic Lateral Sclerosis: A Population-Based Case-Control Study. Int J Environ Res Public Health. 2020;17(3):857. Published 2020 Jan 30. doi:10.3390/ijerph17030857
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32019087/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7037077/