心臓が健康だと目も健康──。無関係に思えるかもしれませんが、互いに共通のリスク要素があるのです。このたび心臓と血管の健康状態がよい、つまりヘルシーなライフスタイルだと、緑内障などさまざまな目の病気になりにくいと海外研究で報告されました。健康的な生活は目にもよいといえそうです。
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運動や食事、血圧など7項目について調査
視力の損傷や失明につながる目の病気にかかっている人は、世界中でおよそ22億人に上りますが、その半数は予防可能だったと考えられるケースだそう。目の病気として多いのは、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、白内障、緑内障ですが、ほとんどの場合、初期にはあまり症状がないため、自覚されないことが多々あります。その結果、早く治療すれば治るのにとり返しのつかないことになりがち。
過去の研究から、喫煙や肥満、高血圧などのライフスタイルに関係した要素が目の病気と関連しているとわかっていますが、このような要素は同時に心臓と血管の病気にも関連しています。
このたびテキサス工科大学の研究グループは、米国心臓協会(AHA)が提唱している心臓と血管の健康状態の尺度「ライフズ・シンプル7(LS7)」のスコアと目の病気との関係を調べました。LS7は「禁煙」「運動」「食事」「BMI」「血圧」「コレステロール」「血糖値」の7項目についてスコアを測るもので、合計スコアが高いほど健康的評価(最高が14ポイント)になります。研究グループは、米国で毎年行われている国民健康栄養調査(NHANES)の参加者6000人以上のデータから分析しています。
健康スコアが高いほどリスク低下
ここから見えてきたのが、LS7のスコアが1ポイント上がるごとに、目の病気(加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、白内障、緑内障)になるリスクが下がることでした。特に糖尿病網膜症は、1ポイントで31%のリスク低下が見られました。LS7のスコアが高い、すなわち心臓と血管の健康状態が良好な人は、よくない人に比べて糖尿病網膜症になるリスクが97%低くなりました。
この結果から、研究グループは「心臓と血管の健康につながるヘルシーなライフスタイルが目の病気を防ぐためにも重要」と指摘。目の病気が予防と早期発見が大切であることからも、心臓と血管の病気の検診に目の検査も加えてはどうかと提案しています。
<参考文献>
A healthy lifestyle for cardiovascular health also promotes good eye health
https://www.elsevier.com/about/press-releases/research-and-journals/a-healthy-lifestyle-for-cardiovascular-health-also-promotes-good-eye-health
The Association of Ideal Cardiovascular Health and Ocular Diseases Among US Adults
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(20)30540-4/fulltext