栄養満点の万能野菜として人気のブロッコリーは、キャベツと同じ「アブラナ科」の野菜。ほかにもカリフラワーや芽キャベツ、白菜、小松菜、大根などがありますが、このアブラナ科の野菜、血管の健康によいという報告がありました。たくさん食べていた人は、動脈硬化につながる変化が少ないそう。とり入れたい野菜としてあらためて認識しておくとよさそうです。
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腹部動脈のカルシウム蓄積を調べた
アブラナ科の野菜は心臓と血管の病気やがんのリスクを下げるという報告がすでにありました。以前からこの事実に着目して研究を重ねていたのが今回の研究を行ったオーストラリアのエディスコーワン大学研究グループです。アブラナ科の野菜をたくさん食べている人は、心臓発作や脳卒中などの心臓と血管の病気になりにくいという研究結果を得ていました。
このたび研究グループはこうしたアブラナ科の野菜が健康につながる理由についてさらに探るため、動脈に「カルシウム」が蓄積しているレベルとアブラナ科の野菜の摂取量との関連性を調べてみました。血管にコレステロールなどの脂質のほか、カルシウムが沈着すると、動脈硬化につながって心臓発作や脳卒中の大きな原因になるからです。カルシウムは健康に欠かせないミネラルである半面で、蓄積していくとかたまってしまい弊害を引き起こしてしまうのです。
対象としたのは、カルシウムの摂取と骨折との関連性を調べた研究に参加した女性684人。食事アンケートで調べた、キャベツ、芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を食べている量と、X線を使った測定による腹部動脈のカルシウム蓄積とを比較しました。
血管へのカルシウムの蓄積を少なく
ここから見えてきたのが、アブラナ科の野菜をたくさん食べていた人は、動脈のカルシウム蓄積が少ないということです。アブラナ科の野菜を毎日45g(ゆでたブロッコリーなら4分の1カップ、生のキャベツなら2分の1カップ)以上食べていた人は、まったく食べていなかった人や少なかった人に比べて、カルシウムが広範囲に蓄積する確率が46%少ないとわかりました。野菜全体やほかの野菜グループの摂取量は、カルシウム蓄積とは無関係でした。
この結果から研究グループは、アブラナ科の野菜は血管のカルシウム蓄積を防ぐ可能性があるとしたうえで、アブラナ科の野菜に多く含まれるビタミンKが関与しているかもしれないと指摘しています。ただ、もちろんアブラナ科の野菜だけをとればよいということではなく、全体的な健康のためにはさまざまな野菜を毎日食べる必要があると注意しています。
<参考文献>
Broccoli and Brussels sprouts a cut above for blood vessel health
https://www.ecu.edu.au/news/latest-news/2020/08/broccoli-and-brussels-sprouts-a-cut-above-for-blood-vessel-health
Blekkenhorst LC, Sim M, Radavelli-Bagatini S, et al. Cruciferous vegetable intake is inversely associated with extensive abdominal aortic calcification in elderly women: a cross-sectional study [published online ahead of print, 2020 Jul 17]. Br J Nutr. 2020;1-9. doi:10.1017/S0007114520002706
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32674743/