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【危ない食品ホントのところ③】輸入食品の安全性

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【危ない食品ホントのところ③】輸入食品の安全性

中国から輸入していたチキンナゲットに肝を冷やしたのは、まだ記憶に新しいところ。中国産を含め、輸入食品の安全性に不安を持つ人は多いもの。ホントのところはどうなのか、詳しく紹介します。

監修 : 森田 満樹

消費者生活コンサルタント。九州大学農学部卒業後、食品会社の研究所、民間調査会社などを経て、現在は一般社団法人Food Communication Compassを設立、事務局長として活躍。食品表示に精通し、食品安全、消費者関連についての講演や執筆活動を行っている。

Contents 目次

輸入食品と国産品の 安全の基準は同じ

2014年7月、中国の食肉加工会社が期限切れの肉を使用していた問題を受けて、マクドナルドやファミリーマートが、中国産加工肉を使った商品を一部販売中止としました。
マスコミでは「中国産は危ない」という報道が広がっていますが、中国産だけ気を付ければいいのでしょうか。
国内に流通する食品は、輸入食品でも国産品でも同じ安全の基準が適用されます。この基準は、食品衛生法という法律により、農薬、食品添加物、食中毒の原因となる病原微生物などあらゆる点において細かく定められています。輸入食品だからといって、甘いわけではありません。
安全の基準は、国によって異なります。もし、日本の基準に合わない食品が国内で見つかった場合は法律違反となり、回収などの措置が講じられます。また、輸入時の検査で違反が見つかれば、日本国内に入らないよう港で廃棄されたり、船ごと国に戻されたりします。日本に輸出する際は、ちゃんと日本の基準に合ったものを輸出するよう、輸出国には大使館を通して事前に基準の情報が伝えられています。

国や地方自治体での 検査結果は?

輸入食品の安全性の確保を、事業者だけにまかせておくわけにはいきません。国や地方自治体も人手と費用をかけて監視をしています。輸入食品は国への届け出が必要で、その窓口になっているのが、全国の空港や港にある32か所の検疫所です。検疫所では日々、輸入食品の審査が行われ、必要に応じて3種類の検査、「検査命令」「モニタリング検査」「指導検査」が行われます。

それでもすべての食品が検査されるわけではありません。年間の輸入食品として届け出のある件数は200万件超ですが、検査を行うのはその1割程度。すべての貨物を開封して検査をすることは現実的ではなく、食品ごとのリスクに応じて検査をする効率的な方法がとられています。
ここでの検査結果をみると、中国が輸入件数も多いことから違反件数がいちばん多いですが、検査件数に対する違反率をみると米国のほうが多く、むしろ中国の違反率は他国と比較しても低いのが現状です(表)。

中国産もいろいろなので 冷静に考えたい

中国産の輸入食品で問題が起こるたびに、中国産食品のバッシングが起こります。しかし、実際はピンからキリまであり、きちんと管理されているところもあります。ただ、管理にはコストがかかりますので、あまりに安価な輸入食品は避けたほうが賢明かもしれません。
現在の日本の食料自給率はカロリーベース(※)で約4割。6割を輸入食品に頼っています。その現実を踏まえながら、事業者や国のとり組みも知ったうえで、冷静に考えてほしいと思います。

※カロリーベースの自給率は、生命を維持するために必要な高カロリー食材(具体的には小麦や油脂類など)の比重を多くとらえる計算方法。

(この記事は2014年11月号に掲載されたものです)

イラスト / オオスキトモコ

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