片頭痛もちの人は、それぞれが痛みを和らげるための何らかの工夫を実践しているのではないでしょうか。医療機関に行く、食事に気をつける…など、痛みを軽くするための方法にはいろいろな手段があります。このたび海外の研究で緑の光が頭痛を軽くするようだとの報告がありました。何らかの形で生活にとり入れてみるとよいかもしれません。
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頭痛を軽くする工夫
米国では4世帯のうち1世帯に片頭痛もちの人がいるといいます。日本では、頭痛に悩む男性は50人に1人、女性では20人に1人。世帯数で見ると、米国と同じように多くの世帯において誰かが頭痛でつらい時期を過ごしているといえるかもしれません。
頭痛になるとふだんの生活もままならないという人は多いはず。米国片頭痛研究財団によると、片頭痛のときには正常に生活できないという人が9割以上にも上ります。頭が痛いだけではなく、異常な光を感じたり、視野が欠けたり、吐き気やめまいがあったり、音や光などに過敏になったりする症状も知られています。医薬品などを使った治療はあるものの、誰にでも効果を示すとは限りませんし、副作用が現れる人も。
このたび米国アリゾナ大学の研究グループは、緑の光を浴びるというまったく新しいアプローチによって片頭痛を軽くしようという試みを検討しました。10週間にわたって1日1~2時間、緑の光のなかに身を置くことで効果が現れると想定。1か月当たりの頭痛の頻度にどのような変化があるのかを調べたのです。
比較対照として、白い光のなかに身を置いた場合との違いについて調べています。いずれの場合も通常の治療を続けたり、医師の指示で新たな治療を始めたりしてもよいことを条件としています。
片頭痛の起こる日が減少
比較対照から判明したのは、緑の光の中に身を置くことで片頭痛の頻度を減らす効果が現れるということです。片頭痛の痛みが発作的に起きる人では、1か月のなかで痛みの出る日が平均7.9日から2.4日に減り、継続的に片頭痛の痛みのある人では平均22.3日から9.4日に減っていました。
白い光でも、片頭痛のある人全体では平均18.2日から16.5日に減っていました。ただ、症状の現れ方で分けると小さな差しか確認されず、効果を十分に証明できませんでした。緑の光を浴びても副作用が現れることはなく、症状を防ぐ方法として可能性が示されたのです。
多くの人において緑の光を浴びることで痛みのある日がほぼ半減するという結果から、研究グループは「片頭痛の治療が難しいなかで、薬を飲みたくない人や薬が効かない人において、副作用を起こさずにできる選択肢として有望」とみています。なお、緑の光を浴びる方法はほかの神経的な症状でも効果が示されているといいます。今後、どのようなメカニズムで効くのかを含めて研究がさらに進むことになりそうです。
<参考文献>
Shining a Green Light on a New Preventive Therapy for Migraine
https://uahs.arizona.edu/tomorrow/shining-green-light-new-preventive-therapy-migraine
Martin LF, Patwardhan AM, Jain SV, et al. Evaluation of green light exposure on headache frequency and quality of life in migraine patients: A preliminary one-way cross-over clinical trial [published online ahead of print, 2020 Sep 9]. Cephalalgia. 2020;333102420956711. doi:10.1177/0333102420956711
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32903062/