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やっぱりメンタルにも効くエクササイズ! 海外研究では中強度の有酸素運動でうつ症状が半減
体を動かさずにいると体がなまるばかりではなく、気持ちも沈んだように感じます。コロナの影響も今は濃厚。そうしたなかでエクササイズは心身ともに調子を上げてくれるイメージがあります。海外の研究から、実際にうつ病の改善に効果がありそうだとわかりました。心のトラブルを感じるときに体を動かすのは理にかなっているといえそうです。
Contents 目次
運動にはどんな効果がある?
新型コロナウイルス感染症による巣ごもりの影響で、運動不足や体重の増加を解消しようと、フィットネスやダイエットの熱が高まっているこの頃。体を動かすことは体だけでなく、心の健康にもつながるようです。
ストレスによって気持ちが落ち込み、それが過度になってくると、うつ病となることも。米国の国立精神保健研究所(NIMH)によると、うつ病の症状には、絶望感、イライラ感、疲労感、集中力の低下、自殺念慮などがあります。薬物療法や認知行動療法といった科学的根拠に基づいた治療も十分な効果を得られないことがある一方で、運動療法によってうつ病の症状が改善するケースもあると考えられています。
そんななか、米国ラトガーズ・ニュージャージー州立大学の研究グループは、有酸素運動がうつ症状に及ぼす影響について調査しています。研究グループは、うつ病患者で障害がみられる快感や楽しさを処理する「報酬関連の脳活動」、気が散らないようにする「認知制御」という脳の機能に注目して、有酸素運動のうつ病への効果について調べました。
研究グループは、うつ病と診断された男女66人(平均年齢20.23才)を、「中強度の有酸素運動を行うグループ」(35人)と「軽いストレッチを行うグループ」(31人)の2つにランダムにふり分け、それぞれ週3回、8週間とり組んでもらいました。研究グループは、研究期間を通してうつ症状の変化を記録し、また研究開始前後に、事象関連電位(ERPs)という指標によって脳の報酬系の情報処理と認知制御の機能を測っています。
運動によりうつ病が軽くなる
ここからわかったのは1週間に3回の有酸素運動を行うことで、うつ病の症状がより大きく改善するということです。具体的には、軽いストレッチを行ったグループでは31%程度にとどまっていたのですが、中強度の有酸素運動のグループではうつ症状が55%も低下していました。
今回の研究で注目した脳内の報酬系の情報処理がよく機能する人ほど、運動の効果が出やすいこともわかりました。喜びを感じやすい、ポジティブな考え方に向きやすいといった人は、メンタルの不調があるときには、積極的に有酸素運動に取り組むことが、病気から脱する近道になってくるのかもしれません。
ストレスで気分が落ち込んだときには、ジョギングやスイミングなどに取り組むことで、すっきり汗をかいてみるのがよさそうです。
<参考文献>
Brush CJ, Hajcak G, Bocchine AJ, et al. A randomized trial of aerobic exercise for major depression: examining neural indicators of reward and cognitive control as predictors and treatment targets [published online ahead of print, 2020 Aug 24]. Psychol Med. 2020;1-11. doi:10.1017/S0033291720002573
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32838817/
Who Could Benefit From Exercise and Behavioral Treatment?
https://www.rutgers.edu/news/who-could-benefit-exercise-and-behavioral-treatment