健康な毎日を過ごすためには、健康的な食生活と運動が欠かせません。妊婦さんにとってもこのことは大切だと考えられています。それは、生まれてくる子どものためにも。このたび、妊娠中にバランスのよい食事をとって運動していると、子どもの健康によい影響があることが研究から確認されています。3歳時点での「安静時心拍数」に注目した研究で、妊娠中の健康的な生活を考えるうえで参考になりそうです。
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生後6か月の調査でも子どもの肥満減少
日本では厚生労働省が2006年に「妊産婦のための食生活指針」をまとめるなど、妊娠中の健康的な食の大切さはかねてより認識されています。さらに運動についても同様に妊娠中でも取り組んだほうがよいという考え方は定着しているでしょう。こうした健康的な生活が実際にどれくらいよい効果をもたらしているのか、国内外で研究が続いています。
今回、英国・ロンドン大学の研究グループは、妊娠中でしかも体型が太めの女性およそ1550人を対象に、バランスのよい食事と運動の効果を調べています。半数の女性には、特に食後の血糖値と飽和脂肪酸に注意した健康的な食事をとるとともに、妊娠中でもできる運動をしてもらい、もう一方の半数には特に何もこうした指示はしませんでした。そのうえで、妊娠中から出産後にわたって母子の健康状態についての追跡調査を行いました。
すでに出産から6か月後までの結果は判明しており、健康的な食事と運動のグループでは、妊娠中の体重増加が少なくなり、代謝の状態がよくなったほか、出産から6か月後の調査では、幼児肥満が少ないとわかっていました。
さらに、このたび出産から3年後の追跡調査として、子どもの血圧や体脂肪などを測って、母親の妊娠中の食生活や運動の影響について調べています。
母親のライフスタイルも改善
ここから見えてきたのが、母親が妊娠中に健康的な食事をとって運動したグループの子どものほうが、「安静時心拍数」が低いということです。安静時心拍数が高いと、大人では高血圧や心臓および血管の機能不全に関係するため、ある程度低いほうが健康とされています。また、子どもが太っている割合も安静時心拍数が少ない傾向が見られました。このグループの母親は3年後も、GI値(糖質の吸収度合い)が低く、飽和脂肪酸量の低い健康的な食事を続けていました。
研究グループは、妊娠中に太り過ぎていると、妊娠によくない影響が出るリスクが高くなるうえ、子どもの長期的な健康にも影響すると指摘。今回の結果から、妊娠中に健康的な食事と運動をとり入れることで、子どもの心臓・血管の健康状態がよくなり、母親のライフスタイルも改善されると結論づけています。
妊娠中の食生活や運動は、子どもの長期の健康にも関係する可能性があるため、気をつけるとよさそうです。
<参考文献>
Healthy diet and exercise during pregnancy could lead to healthier children, study finds
https://www.kcl.ac.uk/news/healthy-diet-exercise-pregnancy-lead-to-healthier-children
Adiposity and cardiovascular outcomes in three‐year‐old children of participants in UPBEAT, an RCT of a complex intervention in pregnant women with obesity
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijpo.12725