ひと昔前なら、テレビの前に座り込んでだらだら過ごすのが怠惰で不健康な生活の代表でしたが、今やインターネットやスマートフォンの急速な普及で、見続ける画面もさまざまに。テレビを見る時間は減ってもケイタイを見る時間は増えているかもしれません。テレビでなくても、「画面」を見る時間が長い人は食事や生活が不健康であるとの分析結果が出ています。
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「画面」を見ていると不健康?
コロナ禍で生活が変わるなか、インターネットを通して動画サービスを利用する時間が増えたといわれます。動画配信サービスやスマートフォンが普及した現在では、一気見による寝不足など別の問題も浮上しているとされます。過去の研究から、テレビの前に座っている時間が長いと、ファストフードを食べる頻度が増えたり、運動不足になったりと健康によくないのは明らかになっていました。
今回、米国・アリゾナ州立大学の研究グループは、テレビやスマートフォン、パソコンなどの「画面」を見ている時間と日常の生活習慣などに関連が見られるのかを分析しました。900人以上を対象としたオンライン調査によって、画面を見ている時間、食生活や睡眠の時間と質、運動、ストレス、健康状態、BMIなどを聞いています。テレビ、ビデオゲーム機などの機器、パソコン、スマートフォン、タブレットに分けて、それぞれの時間と合計時間を答えてもらい、動画の一気見による影響も調べています。
長時間のスマートフォン使用が問題に
ここから見えてきたのが、特にテレビとスマートフォンの組み合わせで長時間画面を見ている場合に、不健康さと関連していることです。
具体的には、画面を見ている時間が最も長いグループ(平均17.5時間)は、中間(11.3時間)と短い(7時間)グループに比べて、食事が最も不健康で、自己評価も含めて健康状態が一番低くなっていました。なかでもテレビとスマートフォンの組み合わせの長時間ユーザーは、テレビとパソコンなど、ほかの端末との組み合わせの長時間ユーザーに比べ、食事が最も不健康だと判明したのです。スマートフォンの使用時間が長い人は、睡眠の質も低いという結果も見られました。動画の一気見も、ファストフードの増加を含めた不健康な食事やストレスに関連しました。さまざまな画面を見ている時間が長くなるに伴って、不健康な食生活や、睡眠などほかの健康面へのマイナスの影響が増えていると研究グループは指摘します。
研究グループは、夜に帰宅してからはどんな画面も見ない生活を2週間続けてもらうという研究も行っています。ここからは、家族や友人ともっと時間を過ごすようになる、料理をする、運動や趣味の活動をするといった変化が起こることを発見したそう。コロナ禍の今こそ逆に、画面をあまり見ない生活を考えるときではと提案しています。
<参考文献>
ASU study finds association between screen time use, diet and other health factors
https://chs.asu.edu/news/netflix-and-binge
Vizcaino M, Buman M, DesRoches T, Wharton C. From TVs to tablets: the relation between device-specific screen time and health-related behaviors and characteristics. BMC Public Health. 2020 Aug 26;20(1):1295. doi: 10.1186/s12889-020-09410-0. PMID: 32847553; PMCID: PMC7447608.
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-020-09410-0
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32847553/