ペットといえば、まず犬と猫が思い浮かびますが、最近では「コンパニオンアニマル」という呼び方もあるように、いろいろな動物が人と生活を共にしています。このたび、人とペットとの絆はどんな動物でも同じように強いという報告がありました。コロナウイルスに関連したロックダウンの最中にも、孤独感やストレスを和らげるために役立つようです。
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ロックダウン中に調査
人と動物とのかかわり合いは、人が生きるうえで大きな価値を生み出すことがはっきりしてきています。多くの研究から、ペットが人の心身の健康や幸福感に有益かもしれないという結果が出ているのです。一般的にも広く関心を集めつつある研究テーマになっており、ペットおよびコンパニオンアニマルとの関係についてより深く分析されるようになっています。
このたび英国の研究グループは、特に今回のコロナ禍に関連したソーシャルディスタンシングやロックダウンという状況下でのペットとの関係性について調べています。具体的には、2020年4月〜6月に、英国に住む18歳以上の6000人にオンライン調査を実施。ロックダウン中(2020年3月23日〜6月1日)の心身の健康面やペットについての質問に答えてもらいました。
英国では、少なくとも1種類のペットを飼っている世帯が40%以上と推定されるそう。今回の調査では回答者のおよそ90%に上りました。ペット以外の動物との交流では、55%近くの人がバードウォッチングや庭で鳥に餌を与えるといった行為を挙げていました。
絆はペットの種類によらない
ここから見えてきたのが、ペットはコロナの状況で大きな癒しになっているということです。
ペットを飼っていた人の90%以上が、ロックダウン中にペットが大きな慰めになったと回答していました。ペットを飼っていた人は、飼っていなかった人に比べて、メンタルの落ち込みが少なく、孤独感の増加も少ない結果でした。また、96%がペットのおかげで活動的に過ごし、体調を維持できたと回答。最も多かったペットはやはり犬と猫で、小型の哺乳類と魚類がこれに続きますが、絆の強さはペットの種類に関係なく同じでした。
この結果から、ペットとの感情的な絆は人のメンタル面の健康に関係すると研究グループは結論づけています。また、ペットはロックダウンに伴う心理的なストレスを和らげると考えられますが、ロックダウンのせいでペットの運動や病院診療が制限されるなど、ペットの世話をめぐる心配を表明した人も68%になり、十分な世話ができないと逆にストレスになるケースもあるため、適切なサポートが必要と指摘しています。
ロックダウン前にメンタル面で問題があった人ほど、ペットとの絆が強い傾向も見られました。ただし、研究グループは、コロナ禍でメンタル面の健康を守るためにペットを飼うほうがよいということでは決してないと強調。効果を期待して安易にペットを求める行為に注意を促しています。本当のメンタルの問題を感じるときには医療機関などに相談するのが大切なのでしょう。
<参考文献>
Having pets linked to maintaining better mental health and reducing loneliness during lockdown, research shows
https://www.york.ac.uk/news-and-events/news/2020/research/pets-survey-lockdown-loneliness/
Ratschen E, Shoesmith E, Shahab L, Silva K, Kale D, Toner P, Reeve C, Mills DS. Human-animal relationships and interactions during the Covid-19 lockdown phase in the UK: Investigating links with mental health and loneliness. PLoS One. 2020 Sep 25;15(9):e0239397. doi: 10.1371/journal.pone.0239397. PMID: 32976500.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0239397
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32976500/