青魚に多く含まれるEPAとDHAなどのオメガ3系脂肪酸。この栄養素の評価が注目されて、サプリメントとして摂取する場合の研究も盛んに行われています。これまでうつ病などのメンタル面も含めたさまざまな病気の予防や軽減効果が報告されてきました。このたび、過去の多くの研究をあらためて分析した結果、特に心臓病などを防ぐたしかな効果を示す最新報告がありました。
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これまでのサプリメント研究すべて分析
心臓と血管の病気とひと口にいっても、代表的な心臓発作や脳卒中、心筋梗塞、狭心症のほか、一般的な動脈硬化なども含まれますから、年齢が若くても決して無縁ではありません。年齢にかかわらず気をつけたい健康の問題です。その予防と治療については研究が進んでいて、オメガ3脂肪酸の代表格、EPAとDHAの効果に注目が集まってきました。
結果は研究によって異なるなかで、米国ハーバード大学の研究グループはEPAとDHAのサプリメントで心臓・血管の病気になるリスクが下がるという研究結果を2019年に報告しています。ただ、過去の大規模な比較試験の結果をまとめて分析したこの研究(メタアナリシスと呼ばれます)については、集めた研究の数が13件と少ないという指摘もありました。
今回、新たに米国とフィンランドの研究グループは、過去のメタアナリシスのデータから、さらに小規模な研究も含めた40件(参加者13万5000人以上)を分析。サプリメント摂取量との関係を詳しく調べました。これは、EPAおよびDHAのサプリメントと心臓・血管の病気との関連性について、2019年までに発表された研究すべてを含んでいます。
多く摂取するほど効果高まる
ここから見えてきたのが、EPAおよびDHAのサプリメントは、たしかに心臓・血管の病気を予防する効果があり、とる量が多いほど効果が上がりそうということ。詳しくは、心筋梗塞と狭心症などの冠動脈疾患になるリスク、そしてそれらによる死亡のリスクが確実に下がるという結論が導かれました。
具体的には心筋梗塞のリスクは13%低下、死亡に至る心筋梗塞のリスクは35%低下するという結果になりました。研究グループは、副作用もほとんどなく、ほかの薬と併用できるうえに、価格もあまり高くないという利点を挙げて、ふつうの食生活ではなかなか難しいたくさんの量のEPAとDHAをサプリメントとしてとることができるメリットを指摘しています。
<参考文献>
サプリメントでも効果あり! DHAなど「オメガ3系脂肪酸」はやっぱり病気を防ぐ
https://fytte.jp/healthcare/86510/
Bernasconi AA, Wiest MM, Lavie CJ, Milani RV, Laukkanen JA. Effect of Omega-3 Dosage on Cardiovascular Outcomes: An Updated Meta-Analysis and Meta-Regression of Interventional Trials. Mayo Clin Proc. 2020 Sep 17:S0025-6196(20)30985-X. doi: 10.1016/j.mayocp.2020.08.034. Epub ahead of print. PMID: 32951855.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S002561962030985X