空気も乾燥し、のどが乾きやすい季節がやってきました。風邪予防のためにも、いつでものどを潤せるようにとペットボトル飲料を携帯している方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたに質問です。ペットボトルのふたを開けるとき、カチッとスムーズに開けられるでしょうか? いつもなかなか開けられなくて苦労しているという人は、もしかすると体にある異変が起きているかもしれません。
今回は内科医の湯川宗之助さんに、「ペットボトルのふたが開けにくい……」にはどんな危険が潜んでいるのか伺いました。
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骨密度が低下し、骨折の危険度もアップ!
「ペットボトルのふたが開けにくい……」、その原因としてまず考えられるのは、握力の低下です。
現代の生活では、洗濯も掃除も機械任せで行うことができ、重たいものを持つ機会もあまり多くありません。そのため、腕の筋肉を使うことが減っており、意識して筋トレをしないと、加齢とともに筋力は低下してしまいます。
その顕著な現れがペットボトルのふたも開けられないほどの握力の低下。国際骨粗鬆症財団の公式雑誌・骨粗鬆症医学誌『Osteoporosis International』に掲載された東京医科歯科大学整形外科等の研究結果によると、握力が低下している人ほど、骨折の危険性が高いことがわかっています。
骨折というと事故などに遭った場合に起こるものと思っているかもしれませんが、必ずしもそうではありません。骨密度が低下すると、軽い力で生じる脆弱性骨折が起こるのです。ちょっと転んで手をついたら、手首を骨折していたということが女性を中心に40代から見られるので要注意です。
調査結果によると、骨折の危険性が高まるのは、女性の場合は握力22㎏以下の人だそう。握力の低下を感じたら、ウォーキングなどの全身運動をしたり、良質なたんぱく質を多くとるように意識しましょう。
握力の低下で、心臓発作や脳卒中のリスクも高まる!?
筋力が弱くなると、骨がもろくなって骨折の危険が……というのは、まだ想像しやすいかもしれません。でも、握力の低下は、さらに恐ろしいことにつながります。それは何と、命にまでかかわることなんです!
厚生労働省の研究班が福岡県久山町で行った調査によると、握力がもっとも強いグループと、もっとも弱いグループを比べたところ、握力が弱いグループは死亡リスクが高まるという結果が出ています。
また、海外でも同様の研究結果があります。マクマスター大学のダリル・レオン氏の研究チームがイギリスの医学雑誌に発表した研究結果によると、握力が5㎏低下するごとに、死亡リスクが16%も増加するのです。その内訳は、心筋梗塞のリスクが7%、脳卒中のリスクが9%アップとなっています。
これらのことからも、握力の低下は、全身の体力の低下と関連していることがわかります。ペットボトルのふたを開けるにも苦労するということは、体全体が危機的な状態かもしれないのです。
手のこわばりを感じる場合は、リウマチの初期症状かも
筋力の低下以外にも、ペットボトルのふたが開けにくくなる病気があります。それが、全国に700万人も予備軍がいるとされるリウマチ。年配の病気と勘違いされがちですが、発症のピークは40代。20代の若い女性が発症することも珍しくありません。
リウマチは炎症物質が体に滞留することによって起こります。すると、朝起きてすぐに体がこわばったり、手足の先が動かしにくくなったり。そのため、ペットボトルのふたが開けにくくなったり、ドアノブが回しにくくなったりするのです。
もしこのような症状がみられたら、疲れやストレス、加齢のせいと決めつけないで、病院を受診しましょう。リウマチの場合は、早期治療が何よりも大事です。
文/出雲 安見子
『リウマチは治せる! 日本一の専門医が教える「特効ストレッチ&最新治療」』(KADOKAWA)