食べることを拒んでしまったり、逆に食べ過ぎてしまったり。いずれも程度がひどいときには、拒食症および過食症という摂食障害の可能性も考えられます。特に女性に多く、ストレスが原因になることも。海外の研究では、摂食障害があると、自分の体形を劣っていると感じやすいという結果が明らかになっています。そんな心配があるならば気をつけるとよいかもしれません。
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ジムに通う1665人にアンケート
新型コロナウイルス感染症で外出の自粛が呼びかけられていますが、自宅に長くいることでストレスが増えている人も多いでしょう。食べ過ぎたり、逆に食が細くなってしまったりする人もいるかもしれません。それが悪化したら摂食障害の可能性もあり、要注意です。
このたび英国のアングリア・ラスキン大学の研究グループが、摂食障害のある人は、自分の見た目を気にし過ぎているのではと予想し、研究をしています。
自分を過剰に太っているのではと考えて、無理なダイエットをしてしまう、他人から客観的に見て外見に問題はないのに、自分で気にし過ぎてしまう…それが行き過ぎると「身体醜形障害(しんたいしゅうけいしょうがい)」という精神的な病気になります。ささいな外見上の欠点や実際には存在しないことを気にしてしまうのです。
研究グループはこのたびさまざまな生活習慣などと身体醜形障害との関連を分析しました。調べたのは、「ソーシャルメディアの使用頻度」「運動へのモチベーション」「運動中毒」「性的関心」「性別」、さらに「摂食障害」です。対象としたのは、ジムに通っている1665人。ここから身体醜形障害をもつ人を割り出して、摂食障害の有無で分けて特徴を調べたのです。
摂食障害だと自分の体は醜いと思う
こうして判明したのは、摂食障害をもっている人は身体醜形障害の問題も一緒に抱えていることが多いということでした。まずアンケート回答者の30%近くに摂食障害がみられ、そのうちの76%が身体醜形障害ももっていたのです。摂食障害になっている人は、そうではない人と比べると約12倍も身体醜形障害が多い結果に。
さらに発症の要因を詳しくみると、「性的関心」や「ソーシャルメディアの使用頻度」は影響していなかったのですが、「性別」では身体醜形障害が女性に多いという結果。研究グループは、「複雑な要因がからまり合っており、不安やストレスのみならず、生活の質にも影響を及ぼす」と指摘しています。
「見た目」は大切といわれますが、自分が気にし過ぎていると感じたとき、また、拒食症ではと思えるときなど、専門家へのカウンセリングの機会をもってもよいのかもしれません。
<参考文献>
Study links eating disorders with body dysmorphia
https://aru.ac.uk/news/study-links-eating-disorders-with-body-dysmorphia
Trott M, Johnstone J, Firth J, Grabovac I, McDermott D, Smith L. Prevalence and correlates of body dysmorphic disorder in health club users in the presence vs absence of eating disorder symptomology. Eat Weight Disord. 2020 Sep 23. doi: 10.1007/s40519-020-01018-y. Epub ahead of print. PMID: 32965636.
https://link.springer.com/article/10.1007/s40519-020-01018-y
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32965636/