新型コロナウイルス感染症の拡大により、今までにない生活を強いられることになった今年ですが、その影響で私たちの体にある異変が起こっている可能性があると、医師が次々と警告しています。その異変とは“血糖値の上昇”。隠れ糖尿病のリスクが高まるなか、どんな対策ができるのか、銀座泰江内科クリニック院長 泰江慎太郎先生が紹介されている食事と運動による予防法をチェックしていきましょう。
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生活の変化が血糖値上昇の要因に
血糖値上昇の理由は、コロナ禍の生活の変化あります。
日常生活の運動量が減り、エネルギー消費が低下してしまう運動不足の状態は、血糖をとり込む筋肉の活動量が減るので血糖値が上昇してしまいます。さらに、テレワークなどで食事のリズムが狂い、食事を抜くといった食生活の乱れも要因に。食事を抜くと、反動で食後の血糖値が急上昇してしまうのです。
また、終わりの見えない感染症への恐れや不安によって自律神経が乱れることで、ストレスを感じると分泌されるホルモンなどがインスリンの効きを悪くしたり、分泌を抑制して血糖値を高くしてしまうのです。
今年の冬は、健康な人も「隠れ糖尿病」に要注意!
今年は寒冬と言われていますが、寒い冬こそ血糖値が上昇傾向にあることがわかっています。つまり、“寒冬×コロナ禍による生活の変化”の今冬は、隠れ糖尿病リスクが高いのだそう。
隠れ糖尿病の人は、食後の短時間だけ正常範囲を超えて急激に血糖値が上昇するのですが、血糖値が乱高下をくり返すので、重大な心血管疾患を発症するリスクが高くなるのだそう。
しかもこの隠れ糖尿病は厄介なことに、自覚症状がなく、ふだんの空腹時の血糖値は正常のため、健康診断ではなかなか見つからないのだそうです。
さらに驚きなのは、隠れ糖尿病は若くてやせている人でも起こる可能性があるということ。
以下が隠れ糖尿病のチェック項目。当てはまる数はいくつかチェックしてみましょう。
隠れ糖尿病の予防法、改善法とは
隠れ糖尿病は食後の血糖値が急激に上がる症状が問題なので、血糖値を上げない食べ方を日々の食生活の中で行えば改善が可能になります。
そこで、糖尿病専門医の泰江先生が提案するのは、2つのファースト。
1つは「ノット・カーボ・ファースト」。これは、最初に野菜と肉、魚を15分かけて食べたあと、ご飯やパンなど炭水化物を最後に食べることです。
肉や魚を先に食べると、インスリン分泌を促進したり、胃腸の働きや消化吸収をゆるやかにする「インクレチン」というホルモンが分泌されるので、血糖値の上昇を抑制してくれるといいます。
2つめは、「まいたけファースト」。食後の高血糖を抑える食材として、とくにおすすめしているのが“まいたけ”です。
朝食にまいたけを食べると、朝食後だけでなく、昼食後の血糖値の急上昇を抑える「セカンドミール効果」があることもわかっています。
さらに、朝食時にまいたけをおかずに米飯と一緒に摂取することで、朝食後、ならびに昼食後の血糖値上昇を抑制する効果があることが確認されています。
運動は“食後すぐ”
食事と同様に重要なのが、運動。
「食後約15分間は、消化吸収のため血液が胃や腸に集中するため、あえてこの時間帯に運動して胃腸に集まった血液を手足の筋肉に分散させると、胃腸の動きが鈍くなり、糖の吸収が抑えられますので“食後すぐの軽い運動”をおすすめします」と泰江先生。
そんな泰江先生おすすめの運動は“進化版かかと落とし”。
つま先を「竹踏み」にのせて、かかとを上下させる運動を食後すぐに1セット30回。これを毎食後に行うだけという簡単な運動ですが、第二の心臓といわれるふくらはぎを効率的に使うことで、糖のとり込みがよくなるそうですよ。
隠れ糖尿病は、突然死やがんのリスクも高まることがわかっています。これらのリスクを低くするために欠かせないのは、血糖値を下げること。ぜひ参考に、コロナ禍の体調管理を行ってくださいね。
【取材協力】
銀座泰江内科クリニック院長 泰江 慎太郎 先生
【出典】
※ 「糖尿病摂取後の血糖値上昇に及ぼすマイタケ抽出物質の影響」
※ 「九州大学×福岡県久山町共同実施健康調査」
文/高田空人衣