体に適度な圧力がかかるように設計された「ウエイトブランケット(weighted blanket)」と呼ばれる毛布。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、不眠症やストレス、子どものADHDなどの治療法として、欧米では以前から利用されているようです。海外の研究から、不安の軽減に有効という報告がありました。
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過去の研究をまとめて検証
この「ウエイトブランケット」、日本では「加重ブランケット」や「重力布団」などいろいろな呼び名があるようですが、高ぶった神経を鎮める効果が注目されていました。「Deep Pressure Stimulation(深部圧力刺激)」と呼ばれ、欧米では子どものADHDや自閉症など発達障害の治療に用いられるようです。さらに、成人でも不眠症や不安症、ストレスなど感情的および生理学的な不調の治療への応用も検討されてきました。ただ、このウエイトブランケットの使用法や有効性についてのデータは限られていました。
今回、米国デンバー保健医療局などの研究グループは不眠症と不安症に対する効果について、さまざまな論文データベースからこれまでの研究結果を集めて分析しています。
不安を和らげる可能性
分析の結果、明らかになったのは、ウエイトブランケットは不安を軽減するための適切なツールになるかもしれないということ。集まった文献が8件と少ないので、判明した効果は多くありませんでした(最も信頼性が高いと見なされる「レベル1」の研究は4件)。不眠症に有効かどうかは、十分な証拠が集まりませんでした。
とはいえ寝具を使うことで、心のトラブルを和らげてくれるとしたら、うれしい効果でしょう。「ウエイトブランケットの使用ガイドライン作成や効果のメカニズム解明に向けて、数多くの多様な人々を対象とした調査研究が望まれる」と研究グループは指摘しています。これからの研究も注目されそうです。
<参考文献>
Eron K, Kohnert L, Watters A, Logan C, Weisner-Rose M, Mehler PS. Weighted Blanket Use: A Systematic Review. Am J Occup Ther. 2020 Mar/Apr;74(2):7402205010p1-7402205010p14. doi: 10.5014/ajot.2020.037358. PMID: 32204779.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32204779/