日本でもグルコサミンやコンドロイチンという成分を含むサプリメントをよく目にします。それは海外でも同じ。関節痛をやわらげるといったうたい文句。このたび海外の研究から、そうした関節への効果とは違ったところで、別の効果が報告されました。心臓の病気によって亡くなる可能性が低くなり、寿命を延ばす可能性があるというものでした。
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関節のために効果がある?
グルコサミンやコンドロイチンは、関節への効果をうたうサプリメントとしてよく知られています。これまで海外の研究では、こうしたサプリメントは変形性関節症や関節痛に効果がないと報告されてきました。それでも米国などでは人気のサプリメントとして毎日摂取している人も多いそう。日本でも一般的に販売されています。
近年、このサプリメントがまったく異なるところで注目されています。英国で行われた研究でグルコサミンのサプリメントが心臓の病気を減らして、死亡率を低下させる可能性があると報告されたことがあり、意外な結果として受け止められたのです。
そこでこのたび米国ウエストバージニア大学の研究グループが、あらためてグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントをのんでいる人の健康への影響について詳しく分析しました。米国の国民健康栄養調査の1万6686人のデータなどから、サプリメントの使用と死亡率との関連を分析したのです。
死亡率が低くなっていた
こうして判明したのは、グルコサミンとコンドロイチンを摂取している人は、摂取していない人よりも死亡率が低くなっていたということ。1年以上、グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントを使っている人は3.94%いました。この使っている人は心血管病による死亡の可能性が27%低下。すべての原因を含めた死亡率も58%低下しました。これは年齢や性別、喫煙状態や運動などの諸条件を考慮して分析した結果です。
研究グループによると、過去のデータを調べ直したものなので、さらに、詳細な調査は必要としていますが、英国の研究とも一致する結果でした。意外な効果というのはたしかでしょう。もっともサプリメントを使っている人が、健康に気を使っているなどの要因も考えられそうですが、さらなる研究が注目されそうです。
<参考文献>
Glucosamine/Chondroitin and Mortality in a US NHANES Cohort
https://www.jabfm.org/content/33/6/842
Wandel S, Jüni P, Tendal B, Nüesch E, Villiger PM, Welton NJ, Reichenbach S, Trelle S. Effects of glucosamine, chondroitin, or placebo in patients with osteoarthritis of hip or knee: network meta-analysis. BMJ. 2010 Sep 16;341:c4675. doi: 10.1136/bmj.c4675. PMID: 20847017; PMCID: PMC2941572.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20847017/
Ma H, Li X, Sun D, Zhou T, Ley SH, Gustat J, Heianza Y, Qi L. Association of habitual glucosamine use with risk of cardiovascular disease: prospective study in UK Biobank. BMJ. 2019 May 14;365:l1628. doi: 10.1136/bmj.l1628. PMID: 31088786; PMCID: PMC6515311.
https://www.bmj.com/content/365/bmj.l1628