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猫は好きだけど、猫アレルギーなのでふれ合えない。そんな人には朗報です。海外の研究によると、猫アレルギーを克服する新しい方法が登場したそう。もしかすると、猫アレルギーの人でも、症状に悩まされずに猫を飼えるようになるかもしれません。
猫アレルギーは治せる?
新型コロナウイルス感染症の影響で、自宅で過ごす時間が増加中。そんな生活のなかでペットを新たに飼育する人が増えているようです。ペットフード協会によると、2020年に新しく飼育された犬は前年よりも14%多い46万2000頭。猫は16%多い48万3000頭でした。最近の国内飼育頭数では、犬よりも猫のほうが多く、猫人気が継続していましたが、さらに拍車がかかっているといえそうです。国際的に見ても、猫の人気は高いよう。それに合わせるように猫アレルギーになる人も増えているといいます。
このたびルクセンブルク健康研究所の研究グループが報告したのは、猫アレルギーを治す新しい方法です。着目したのは、猫アレルギーの原因となる猫のもつ特殊なタンパク質(Fel d 1)。人はこれに過剰な免疫反応を起こし、鼻水や咳が出たりしてしまうことがあるのです。そこで研究グループは「アレルゲン特異的免疫療法」と呼ばれる、免疫反応の原因となる猫の特殊なタンパク質に徐々に慣れるように誘導する方法について、可能かを調べました。
免疫反応を穏やかにする効果
こうしてわかったのは、猫アレルギーの症状を治せるかもしれないということ。猫のもつ特殊なタンパク質に加えて、免疫反応を調節する薬剤を組み合わせたところ、安全で効果的に猫アレルギーに関連した免疫反応を抑えられることを確認しました。猫アレルギーの症状である気道の炎症や過度な反応の減少も認められました。
研究グループが特に注目したのは、免疫反応を抑える働きのある「制御性T細胞」と呼ばれる免疫細胞が増えたこと。これは大阪大学の坂口志門教授が発見したことで世界的に知られている免疫反応の一種で、免疫反応のバランスをとる役割があると考えられています。今回の治療でも、アレルギーの異常な反応が強く出過ぎないようバランスをとっていると考えられました。まだ実用化は先かもしれませんが、猫を飼えなかった人には朗報となるのかもしれません。
<参考文献>
[Press release] Novel immunotherapy approach to treat cat allergyhttps://www.lih.lu/blog/our-news-1/post/press-release-novel-immunotherapy-approach-to-treat-cat-allergy-388
Leonard C, Montamat G, Davril C, Domingues O, Hunewald O, Revets D, Guerin C, Blank S, Heckendorn J, Jardon G, Hentges F, Ollert M. Comprehensive mapping of immune tolerance yields a regulatory TNF receptor 2 signature in a murine model of successful Fel d 1-specific immunotherapy using high-dose CpG adjuvant. Allergy. 2020 Dec 20. doi: 10.1111/all.14716. Epub ahead of print. PMID: 33345329.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.14716
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星 良孝 <ステラ・メディックス>
ステラ・メディックス代表取締役社長/編集者 獣医師 専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。代表取締役の星良孝は、東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。https://stellamedix.jp
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