近年、座りがちな生活は健康によくないという証拠が集まりつつあり、運動や体を動かすことが推奨されています。そんななか、WHO(世界保健機関)が身体活動に関する新しいガイドラインを発表。座っている時間が長い場合、運動量を増やすことで健康リスクを下げることが可能と初めて指摘されました。体を動かす活動ならば何でもよいそうです。
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体を動かさないと現れる悪影響
新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が求められ、座る時間の長い生活を続けざるを得ず、そのマイナス影響を受けてしまった人も多いかもしれません。
今回報告されたWHOの新しいガイドラインを作ったのは、世界中から集められた40人以上の科学者。過去のさまざまな研究を見直し、身体活動と座っている時間との関連性を調査したのです。新ガイドラインで推奨されたのは、年齢や身体能力にかかわらず、できるだけ座っている時間を減らし、身体活動を増やすこと。スポーツやエクササイズに限らず、エレベーターの代わりに階段を使う、近所を散歩する、ガーデニングや家事をするなど、どんな身体活動でもよいとのこと。
ガイドラインが発表された同じ医学誌には、1日10時間以上座っていると、ほとんど体を動かさない人では、特に死亡リスクが上がるという最新の研究結果も報告されています。4万4000人を対象としたこの研究では、中〜高強度の身体活動を1日20〜40分続けるだけで、座っている時間がとても短い場合のレベルにまでリスクを下げることができるとわかりました。
少しの運動でも何もしないよりはマシ
新ガイドラインで推奨している運動時間は、中強度の運動なら週に150〜300分、高強度なら75〜100分ですが、ほんの少しでもやらないよりは健康によいと強調されています。そして、長く座りがちなときには、悪影響を減らすために推奨時間より多く運動するよう心がけるとよいそう。また、筋力強化運動(ウエイトトレーニングや体幹強化運動)も、週に2日以上やるようすすめています。
いったいどれくらい座っていると「長すぎる」ことになるのかは、まだ明らかではありません。ただ、この分野の研究は急速に進んでいるので、数年以内には判明するのではないか、というのが研究グループの見方。なるべく体を動かして健康を守ることが大切だと指摘しています。
どうしてもこもりがちになるコロナ禍では、階段の活用やちょっとした散歩、子どもやペットと遊んだり、オンラインのヨガ教室やダンスに参加したりするなど、できるところから取り組むとよさそうです。
<参考文献>
Aim to exceed weekly recommended physical activity level to offset health harms of prolonged sitting, says WHO
https://www.bmj.com/company/newsroom/aim-to-exceed-weekly-recommended-physical-activity-level-to-offset-health-harms-of-prolonged-sitting-says-who/
Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, Borodulin K, Buman MP, Cardon G, Carty C, Chaput JP, Chastin S, Chou R, Dempsey PC, DiPietro L, Ekelund U, Firth J, Friedenreich CM, Garcia L, Gichu M, Jago R, Katzmarzyk PT, Lambert E, Leitzmann M, Milton K, Ortega FB, Ranasinghe C, Stamatakis E, Tiedemann A, Troiano RP, van der Ploeg HP, Wari V, Willumsen JF. World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Br J Sports Med. 2020 Dec;54(24):1451-1462. doi: 10.1136/bjsports-2020-102955. PMID: 33239350.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33239350/
https://bjsm.bmj.com/content/54/24/1451
Joint associations of accelero-meter measured physical activity and sedentary time with all-cause mortality: a harmonised meta-analysis in more than 44 000 middle-aged and older individuals
https://bjsm.bmj.com/content/54/24/1499