「昼間から寝ているのはだらしない」などと昼寝には罪悪感もつきまといそうですが、むしろ積極的に休むように心がけたほうがいいのかもしれません。さまざまな研究から、仕事や勉強のパフォーマンス向上のほか、美容や健康にもつながるという結果が出ているのは見逃せません。さらに、海外の研究から、脳の働きを改善させる効果も報告されています。
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昼寝の効果とは?
昼寝の効果が注目されるなかで研究が進んでいるのは、脳の働きへの効果です。謎のひとつは、年をとるにつれて、睡眠のパターンが変わり、昼寝をする人が増える理由について。昼寝をすることで、認知機能の低下を防いでいると考えられる一方で、逆に、認知機能が低下するために昼寝時間が増えている可能性も考えられているのです。どちらによるかで、昼寝の評価も大きく変わってきそうです。
このたび、中国の研究グループが、そんな昼寝の効果について詳しく調べています。対象としたのは、北京や上海など都市部に住んでいるおよそ2200人。昼食後に5分以上、2時間未満の昼寝を定期的にしている1500人、昼寝をしない約700人に分けて、昼寝と認知機能の間に関係があるのかを調べました。夜の睡眠時間はどちらも6.5時間ほど。昼寝の頻度は週1回から毎日という人まで、幅がありました。
長さや頻度が重要に
この比較から見えてきたのが、昼寝をしているグループの認知機能の高さでした。具体的には、昼寝をするグループのほうが認知機能の検査結果が良好だったのです。スコアが高くなったのは、方向感覚、言語能力、記憶能力。
では、なぜ昼寝をしている人で結果がよかったのか。そこはさらに調査も必要なようですが、研究グループは「炎症」が関与していると推定しています。睡眠不足や睡眠障害があると、体のダメージにつながる炎症を引き起こす化学物質を増やし、認知機能を含め心身に影響を与えるといいます。そうならないように調節しているのが睡眠だといいます。
昼寝の効果には休む長さや頻度、タイミングなどの工夫が必要になりそうです。2時間以上の長い昼寝は逆に認知機能を低下させる研究結果もあり、今回の結果からいえば、5分以上、2時間未満のなかで体を休めるのは効果的といえるかもしれません。
<参考文献>
Afternoon napping linked to better mental agility
https://www.bmj.com/company/newsroom/afternoon-napping-linked-to-better-mental-agility/
Cai H, Su N, Li W, et alRelationship between afternoon napping and cognitive function in the ageing Chinese populationGeneral Psychiatry 2021;34:e100361. doi: 10.1136/gpsych-2020-100361
https://gpsych.bmj.com/content/34/1/e100361