コロナ禍で生活が大きく変わり、疲れがたまりがち。そんな疲れを緑茶や紅茶で癒すという人も多いでしょう。リラックスの効果はもとより、ダイエットや美容、健康にもよい効果が明らかにされているお茶の効果は幅広いものです。そんな効用の理由として、海外研究から「血圧を下げるからでは」と報告されました。どういうことでしょうか。
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お茶の成分は何がよい?
お茶を飲む習慣は中国で始まったもので、歴史は4000年以上。世界で日常の生活に定着しています。一般的に飲まれるお茶は大きく3種類があります。発酵の度合いの違いから、発酵のない緑茶、一定の発酵をさせた烏龍茶、さらに発酵させた紅茶です。それぞれに含まれるカフェインやカテキンなどが心身への効果を発揮しているとされますが、その理由にはまだ謎も多いようです。
米国とデンマークの研究グループは、お茶の成分がどのように健康によい効果が現れるのかを詳しく調べています。これまでお茶に含まれているフラボノイドの一種であるカテキンが血圧を下げることがわかっていましたが、今回の研究では、お茶による血圧を下げる仕組みを深掘りして、健康への幅広い効果を検討しています。
全身にカテキンが効果
こうして判明したのは、カテキンの効果が体の一部分というのではなく、全身にくまなくおよぶ可能性があるということ。というのも、カテキンによって血圧が下がる効果は、カテキンによって血管が広がるために起こるようだとわかったのです。血管が広がると、血液は血管を通りやすくなり、血管の壁を押す力が弱くなるのです。今回、研究グループは血管の細胞にある「KCNQ5」というたんぱく質にカテキンが働くことを突き止めました。漠然と「カテキンが効果を発揮します」というのではなく、具体的に効果を発揮する理由を浮かび上がらせたのです。
研究グループは、お茶が脳にもよい効果をもたらす理由のなかにも今回の発見が関係ありそうだと説明しています。というのも、KCNQ5というたんぱく質は脳のなかにも多く存在することがわかっているからです。カテキンという名前はよく聞きますが、こうしてメカニズムがはっきりすることで、お茶の効果がさらにくっきりと理解できます。より効果の高いお茶を生み出すような新しい動きにつながる可能性もありそうです。
<参考文献>
New discovery explains antihypertensive properties of green and black tea
https://som.uci.edu/news_releases/green-black-tea-antihypertensive-properties.asp
Redford KE, Rognant S, Jepps TA, Abbott GW. KCNQ5 Potassium Channel Activation Underlies Vasodilation by Tea. Cell Physiol Biochem. 2021 Mar 6;55(S3):46-64. doi: 10.33594/000000337. PMID: 33667331.
https://www.cellphysiolbiochem.com/Articles/000337/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33667331/