野菜と果物をたっぷりとっていると、さまざまな病気のリスクが下がるという研究結果が続々と出ています。糖尿病から心臓の病気まで、全身の健康にかかわるトラブルとの関係がはっきりしているのです。そんななか、海外の研究によると、野菜や全粒穀物など植物性の食品が豊富な食事は脳卒中のリスクを下げるという報告がありました。習慣的に食べることはやはり大切です。
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植物性食品を2種類に分けて分析
日本でも「プラス1皿の野菜」として野菜を1日70~80gほど、いつもの食事に加えて食べるように推奨されており、野菜を食べることの大切さは広く認識されるようになっています。その幅広い健康への効果についての研究が年々進んできたのは、そうした動きとも関係するところ。
今回、米国ハーバード大学などの研究グループが分析したのは、看護師や医師を対象にした健康調査から選ばれた20万人以上(女性16万人以上)のデータです。どんな食品を食べているのか、2〜4年ごとにアンケートをとりつつ25年以上にわたって追跡したのです。注目したのは、脳の血管の病気である「脳卒中」。野菜や果実、穀物など植物性の食品を食べることが予防につながるのかを調べました。
このデータでは、「植物性食品全般」に加えて、特に葉物野菜や果物、全粒穀物、豆類など「ヘルシーと考えられている植物性食品」、精製穀物、とうもろこしやじゃがいもなど血糖値がすぐに上がりやすい「ヘルシーではないと考えられている植物性食品」の3パターンについて摂取量を計算しています。肉や魚の摂取量がほぼゼロの人はベジタリアンと見なして、別個に関連を調べました。
脳卒中を減らすヘルシーな植物性食品
こうして判明したのは、ヘルシーな植物性食品を多くとっていた人たちの脳卒中になるリスクが10%低いということでした。ヘルシーな植物性食品が多かったグループは平均して1日12サービング(およそ小鉢1皿分が1サービング)、少なかったグループは7.5サービング。葉物野菜や果物、全粒穀物、豆類などを多く食べることで、脳の血管を守るような効果が現れる可能性があるわけです。
こうした関係は、野菜全般で見ても、ヘルシーではない植物性食品で見ても確認できませんでした。あまりヘルシーではない食品が多いと“健康的”とはいえないのではないかと研究グループは指摘。食べるものしだいで、脳の血管の健康まで影響を受けるという結果です。野菜や果物を積極的に食べるメリットとして知っておくとよいかもしれません。
<参考文献>
DIET HIGH IN HEALTHFUL PLANT-BASED FOOD MAY REDUCE RISK OF STROKE BY 10%
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/4872
Baden MY, Shan Z, Wang F, Li Y, Manson JE, Rimm EB, Willett WC, Hu FB, Rexrode KM. Quality of Plant-based Diet and Risk of Total, Ischemic, and Hemorrhagic Stroke. Neurology. 2021 Mar 10:10.1212/WNL.0000000000011713. doi: 10.1212/WNL.0000000000011713. Epub ahead of print. PMID: 33692165.
https://n.neurology.org/content/early/2021/02/16/WNL.0000000000011713
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33692165/