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ポジティブな感情は表情に出にくい?! 歯科医師が教える、すきま時間で気軽にできる小顔マッサージと笑顔のトレーニング
自粛生活で少し老けた印象になったと変化を感じている人は少なくないようです。マスクをとってみて、全体的に疲れて見えたり、2〜3歳年齢が上がったような顔つきに驚いたりしたことはありませんか。そこで歯科医師である宮本日出先生に、コロナ禍で増えているという顔の“たるみ”や“ゆがみ”に効果的なマッサージを教えていただきました。
Contents 目次
自粛生活で増えている、顔の“たるみ”や“ゆがみ”
人は年齢を重ねると、顔の皮膚の下にある筋肉と皮膚をつなげるコラーゲン膜が衰え、すき間ができてしまいます。これが、顔がたるんだ印象になる原因です。コラーゲン膜が顔の皮膚を支えきれないので、皮膚が重力でたれ下がってしまうのです。
さらにコロナ禍の今、外出が減り、人と話す機会が減り、年齢に関係なく顔がたるんでくる人が増えています。
「人は感情の表れとして顔に表情を作りますが、そのために、顔の皮膚の下にある30種類以上の表情筋を相互に複雑に働かせます。表情筋を大別すると、ポジティブな感情を表す、顔の皮膚を上に上げる筋肉と、ネガティブな感情を表し、顔の皮膚を下に下げる筋肉とに分かれます。
顔の皮膚を下に下げる筋肉は無意識でも使うのに対して、上に上げる筋肉は意識しないと鍛えられません。言い換えれば、ネガティブな感情は無意識でも表情に表れるのに、ポシティブな感情は意識しないと表情に表れにくいといえます。
日頃から顔の皮膚を下へ下げる筋肉のほうをたくさん使うため、年々、皮膚を上げる筋肉は衰えてきてしまいます。
また、外出が減れば人と会う機会も減り、表情を作らなくなります。会ったとしても、マスクによって自分の表情が相手に見えないからと、無表情になりがちです。すると顔の皮膚を上げる筋肉がますます衰えて、顔がたるんできてしまいます。
表情筋は使っていないと衰えるので、久しぶりに表情を作ろうとしても、思ったように表情筋が働かず、いわゆる“引きつった表情“となり、顔がゆがんで見えることもあります」(宮本先生)
また、マスク生活で増えている口呼吸も顔のたるみに大きな影響が。
「口呼吸をしていると、唇を閉じる筋肉をはじめとして、口まわりの筋肉を使わなくなるので、筋肉が衰えてきます。すると、口もとがだらしなくたるんだようになります。マスクによる口呼吸の増加は、女性に多く見られる傾向なので注意が必要です」(宮本先生)
こうした顔のたるみやゆがみは、口もとの筋肉や顔の皮膚を上に上げる筋肉を鍛えることで改善できます。自宅で手軽にできるトレーニングやマッサージをご紹介するので、気がついたときに、1日に何回でも行いましょう。年齢が高い人ほど多くこなすことを心がけて。
表情筋を鍛えてポジティブな顔に! 笑顔トレーニング
顔のたるみやゆがみが気になる人だけでなく、最近、笑顔になっていないなという人にもオススメなのが笑顔トレーニングです。鏡を見て、使う筋肉を動かす方向へ指でなぞりながら行いましょう。
(1)上唇鼻翼挙筋を動かします
小鼻の真上にある上唇鼻翼挙筋。小鼻を上に上げるようにして鍛えます。目の周りにシワが寄らないようにします。
(2)上唇挙筋を動かします。
(1)をキープしたまま、上唇をまっすぐ上に向けて、前歯を見せるようにします。前歯4本が見え、歯と歯ぐきの境も見えます。前歯を全部見せることは重要ですが、このままでは“ガミースマイル(歯ぐきが見える笑顔)“になってしまい、あまりよい印象ではありません。
(3)小頬筋を動かします
(2)の状態をキープして、上唇を外側に引き上げます。奥歯の外側を見せるようにすると、さわやかな印象を与えます。多くの日本人の笑顔はここまでです。もうワン・ステップで、笑顔がぐんと明るくなります。
(4)大頬筋を動かします
これまでの笑顔に加えて、さらに口角を上に上げます。ほおの内側と歯(歯ぐき)との間に空気を入れてすき間を作るようにします。ほんの少しだけ下を向くと、口角の上がり方が強調されるので、より素敵な笑顔になります。
「慣れないうちは、思うように口角が上げられないかもしれませんが、鏡を見ながら数日の間、ストレッチを続けると、大頬筋が鍛えられしっかりと口角が上がるようになります。
また、魅力的な笑顔作りには唇と歯のラインがそろうことも重要です。
上の歯は前に行くほど下に長く、奥へ行くほど短くなるという「U字型」のカーブを描いています。この曲線と上唇の形が一緒になれば、笑顔はさらにワンランクアップします。唇だけでなく、歯と調和した笑顔を目指しましょう」
小顔に効く! 唾液腺マッサージ
顔のたるみには年代別に特徴があり、唾液を作る唾液線に大きな影響を受けます。
唾液腺は「舌下腺」「顎下腺」「耳下腺」の大きく3つに分かれています。年代に合った唾液線へのマッサージをすることで、即効性のある効果的な小顔ケアができます。
●20代《耳下腺(じかせん)マッサージ》
顔をほっそり見せるために耳下腺マッサージが効果的です。
耳下腺は耳の前から耳の下にかけてあります。耳の下あたり(おたふく風邪で腫れるところ)をマッサージすると顔がスッキリと引き締まった印象になります。
【マッサージ方法】
耳の下に人さし指と中指をそろえて、指の腹で押さえます。うしろから上回しに円を描くように唾液腺を押してマッサージします。マッサージしている音が聞こえるくらい押すと効果が出やすいですよ。
●30代《舌下線(ぜっかせん》マッサージ》
代謝が落ち始め、下あごの下にたるみが出てくる年代です。ここがたるむと、老けた印象になるのですが、鏡では自分の顔を正面からとらえることが多いため、自覚がないことも少なくありません。下あごの下に位置する「舌下腺」のマッサージでたるみを解消しましょう。
【マッサージ方法】
両手を、親指を立てて握ります。両方の親指を、下あごの先端(おとがい)にあて、真下からやさしくゆっくり押し上げます(口の中では、舌の先のほうが持ち上がる感じがします)。敏感なところですので、強く押しすぎないように注意しましょう。
●40代《顎下線(がっかせん)マッサージ》
実際にあごまわりがたるんできて、あごのラインがシャープでなくなってきます。フェイスラインをハッキリさせて、本来の小顔にしましょう。下あごの骨の角(耳の下)から、下あごの先端までのラインを強調するために、その内側にある顎下腺をマッサージします。
【マッサージ方法】
人さし指と中指で、あごの先と耳の下を結んだ線の中間よりややうしろあたり をさわります。内側から外側に、持ち上げながら指を外に開くような感じで、顎下腺を押します。あごを少し上げたほうが、押しているところがわかるので、マッサージしやすいです。
「唾液腺マッサージは、慣れるまでは鏡を見て、しっかり唾液腺に指が当たっているかを確認しながら行ってください。唾液腺の位置はすぐに覚えられるので、それからはわざわざ鏡の前で行う必要はありません。TVや動画を見ながら、家族と話をしながらなど、ちょっとした空き時間できてしまう手軽な方法で、即効性もあります。web会議の前にサッと行うのもオススメです」(宮本先生)
紹介したトレーニングとマッサージは、どれも作業をしながらでもできる、手軽なものです。小さなことですが、毎日続けることで、しだいに効果が実感できるはず。ぜひ今日から頑張ってください。
取材・文/内藤 真左子 モデル/川﨑 佳代子