早起きして、朝から活動すると、心も体も元気になったように感じます。眠い目をこすって起きるのは人によっては大変かもしれませんが、「早起きは三文の得」といいます。そんななかで、海外の研究から、1時間早く起きると、うつ病のリスクが大きく低下すると報告されました。世の中が沈みがちなこの頃、見逃せない結果かもしれません。
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早起きの効果は?
コロナ禍でメンタルが落ち込みがち。自粛生活のなかでよくないニュースを耳にすることが増え、心の健康にはまずい状況は続きます。そんな落ち込みがちな状況を抜け出すために、早起きがひとつの解決策になるのかもしれません。
このたび米国ハーバード大学などの研究グループは、眠りのパターンと精神的な健康との関係について調査しました。対象にしたのは、約84万人分のデータ。遺伝的な情報から、早起きになりやすい朝型の遺伝子の人、中間的な人、夜型の人を分類。そのうえで、何時に寝て、何時に起きるかを分析して、睡眠パターンとうつ病の関係を割り出しました。
早起きの人はうつ病が遠のく
ここからわかったのが、早起きの人はうつ病のリスクが低いということです。具体的には、1時間、起きる時間が早いと、うつ病になる可能性が23%低くなっていました。2時間なら、およそ40%低下という結果です。
研究グループによると、朝型か夜型かといった特徴は、遺伝的なうつ病のなりやすさとは無関係に決まってきます。ここから、早起きであることは、うつ病のリスク低下につながると推定しているのです。そのうえで、夜型の人や中間的な睡眠パターンの人は、就寝時間や起床時間を早めたりすることで、メリットがあると提案します。
もっとも、一般的な社会が朝型人間に都合がよくなっているため、夜型の人が常にズレていると感じて不利益を被って、うつ病になりやすい可能性が指摘されることがあります。研究グループもそうした可能性を認めつつも、今回の研究から、朝型、夜型を問わずに、睡眠時間を早めることでうつ病になりづらくなる可能性は強まったのではと、解釈しています。もともと早起きはいいといわれますし、これまで以上に睡眠パターンを朝型になるように意識してよいのかもしれません。
<参考文献>
Want to reduce your depression risk? Wake up an hour earlier
https://www.colorado.edu/today/2021/05/27/want-reduce-your-depression-risk-wake-hour-earlier
Daghlas I, Lane JM, Saxena R, Vetter C. Genetically Proxied Diurnal Preference, Sleep Timing, and Risk of Major Depressive Disorder. JAMA Psychiatry. 2021 May 26. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2021.0959. Epub ahead of print. PMID: 34037671.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34037671/
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2780428