新型コロナウイルス感染症の予防や治療に有効とされる食品やビタミン、ミネラル類に関心が集まっています。そんななかで女性にとって新型コロナのリスクを下げてくれる可能性がある栄養素についての研究報告がありました。その中身とは?
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スマホアプリのデータを分析
ビタミンCやD、亜鉛などの栄養素はコロナ予防の観点から話題になることがあります。なかには、免疫機能を高め、呼吸器感染症のリスクを下げるうえで有効という研究報告も。英国では2020年3月に初めてのロックダウンが実施されるまでの期間に、サプリメント市場が20%近く拡大して、ビタミンCやマルチビタミンは2倍になっているそう。もっとも本当にコロナのリスクが下がるかどうかの研究は始まったところです。
今回、英国や米国、スウェーデンの研究グループはこうした新型コロナと栄養素との関連性を検証しました。対象としたのは、コロナの研究のために開発された、スマートフォン用の無料アプリ「COVID-19 Symptom Study」を使っている44万人以上です。コロナのPCR検査の結果のほかに、居住場所や年齢、基本的な健康情報が集められ、サプリメントの使用についてもデータをとれるようになっています。
研究グループは英国(37万人以上)、米国(4万5000人以上)、スウェーデン(2万7000人以上)のデータから、2020年5月〜7月までの間のサプリメントの使用とPCR検査結果について国別に分析しました。
コロナのリスクを下げる栄養素に共通の結果
ここから浮かび上がったのが、プロバイオティクス(腸内でよい働きをする善玉菌)、オメガ3系脂肪酸(魚油)、マルチビタミン、ビタミンDのサプリメントをとっていた人は、新型コロナウイルス感染症にかかるリスクが低かったことです。英国では、それぞれ14%、12%、13%、9%低くなり、米国とスウェーデンでも、数値は多少違うものの同様の結果が得られました。
一方で、ビタミンC、亜鉛、にんにくのサプリメントについては、このような影響は見られませんでした。
さらに年齢やBMI別に分析したところ、年齢、体重によらず女性において同様に新型コロナと栄養素の関連性が認められるとわかりました。ただし、男性では関連性は認められませんでした。
研究グループは「観察されたリスクの低下の効果は重要」と指摘しています。栄養素の不足がないようにするのは、健康全般にとって大切でもありますし、これまで以上に心がけるようにするとよいのかもしれません。
<参考文献>
Multivits, omega-3, probiotics, vitamin D may lessen risk of positive COVID-19 test
https://www.bmj.com/company/newsroom/multivits-omega-3-probiotics-vitamin-d-may-lessen-risk-of-positive-covid-19-test/
Louca P, Murray B, Klaser K, et alModest effects of dietary supplements during the COVID-19 pandemic: insights from 445 850 users of the COVID-19 Symptom Study appBMJ Nutrition, Prevention & Health 2021;bmjnph-2021-000250. doi: 10.1136/bmjnph-2021-000250
https://nutrition.bmj.com/content/early/2021/05/21/bmjnph-2021-000250