おいしいものを食べると幸せになり、食生活が乱れていると気持ちもすさむ。過去の研究から、睡眠、食事、運動は、体だけでなく心の健康にも大切だという認識が広まりつつあります。さらにこのたび、女性は男性に比べて、食べるものや食習慣などとメンタル面の関連性が強いという報告が。メンタルを改善するためのひと工夫についても明らかにされました。さて、心を豊かにする食とは?
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食品、食習慣、運動それぞれの影響を分析
体も心も健康に保つには、食事、睡眠、運動と、生活習慣のそれぞれの要素にきちんと気を配ることが重要だということが研究からはっきりとしています。なかでもメンタルヘルスにおいては、たとえば、果物や野菜を多くとることで、幸福度が上がるといった研究報告があるなど、日々の食生活が少なからず心に影響してくることがますます注目されるようになっています。
今回、米国ニューヨーク州立大学のグループは、以前の研究から食事の質がよいとメンタルが改善するという結果を得たところから、さらに食品を細かく分類したうえで、メンタルへの影響を分析することにしました。
対象にしたのは、SNSを通じて募ったさまざまな社会的、職業的なグループの人たち。匿名のアンケートに答えてもらい、食生活のパターンや運動習慣、メンタル面での障害に関するデータを収集しました。
具体的には、食品を「全粒穀物」「果物」「緑黄色野菜」「肉類」「豆類」のほか、血糖値を上げやすい「高GI食品」などのグループに分類。さらには、朝食をとるかどうか、魚油などのサプリメントの使用、ファストフード、カフェイン飲料の摂取といった食習慣についても着目。有酸素運動や筋トレなどの運動の習慣も踏まえて、それぞれの習慣とメンタルの関連性を詳しく調べてみました。
食事と運動が相乗効果
こうして判明したのは、女性は男性に比べて、不健康な食生活によるメンタル面での悪影響を受けやすいこと。そして運動は、食品とメンタルとの関連性を強化したり、弱めたりして、一部の不健康な食べものによる悪影響を緩和することもわかりました。たとえば、女性の場合、ファストフード、カフェイン、高GI食品、そして朝食抜きはすべメンタル不調につながりました。一方、果物と緑黄色野菜を多くとっているとメンタルによい影響があり、運動は高GI食品とファストフードによるメンタル面の悪影響を軽減しました。
食事と運動などのライフスタイル要素を、それぞれに合ったもっともよいものにすることで、メンタル面の幸福につながると研究グループは結論。食事と運動は、女性のメンタル面の健康を守るうえでいちばんの予防策になると指摘しています。
<参考文献>
Begdache L, Patrissy CM. Customization of Diet May Promote Exercise and Improve Mental Wellbeing in Mature Adults: The Role of Exercise as a Mediator. J Pers Med. 2021 May 19;11(5):435. doi: 10.3390/jpm11050435. PMID: 34069663; PMCID: PMC8161359.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34069663/
https://www.mdpi.com/2075-4426/11/5/435
Women’s mental health has higher association with dietary factors
https://www.binghamton.edu/news/story/3094/womens-mental-health-has-higher-association-with-dietary-factors