ストレスや疲れから心と体を回復させるためには何といっても良質な睡眠が欠かせません。よく眠ることで自律神経系や免疫系などを含めた体のシステムが休まります。海外の研究によると、寝ている間に体が回復しやすい人には特徴があるといいます。どうやら食事のとり方が影響してくるようなのです。
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睡眠中の体の回復と食事の関係を調査
睡眠は全身の休息につながりますが、なかでも自律神経とは密接な関係があります。起きている間は交感神経が活発であるのに対して、睡眠している間は副交感神経が活発になり、体がリラックスした状態に置かれます。睡眠の質を考えるうえでこの副交感神経は重要な要素になります。
今回、フィンランドの研究グループは、睡眠中の自律神経の働き具合から体の回復レベルについて検証しました。副交感神経が優勢なら体の回復がうながされていると想定して、自律神経の働きと食事と関係を検討したのです。
研究グループが自律神経の働きを判定したのは心臓の鼓動のゆらぎからです。心臓の鼓動は速くなったり遅くなったりしますが、速くても遅くてもその間隔はじつは一定ではなく、ミリ秒という非常に短い単位でゆらいでいます。このゆらぎの測定に基づいて、交感神経と副交感神経のバランスを調べました。副交感神経が優勢なときは指標スコアの数値が高く、副交感神経が優勢なときは低くなります。
研究グループはフィンランドの都市に住む252人を対象に心拍のゆらぎを測定できる衣服を着用してもらい3日間にわたり検査を実施。食事に関するデータと心拍の変動データから、睡眠中の体の回復と食事の質や食習慣との間に関連性があるかを調べました。食事については、食事の質のほか、暴飲暴食をしないなど、食事をコントロールできているかといった食べものに対する姿勢や食習慣なども調べています。
睡眠をよりよくする食事の条件
ここから判明したのは、副交感神経が優勢で、体の回復レベルが高い人は、食事に特徴があるということです。具体的には食物繊維をとる量が多く、低アルコールである点。これに加えて、感情にまかせて食べていないという食習慣も条件として浮かび上がりました。
食物繊維を食べてアルコールを控えると、すぐに効果的な睡眠に直結してくるのかはさらなる研究が待たれるようですが、よく眠れていない、体が回復しないと感じている人はこの辺りに気をつけるとよいかもしれません。要するに、ふだんの食事に野菜をとり入れる、飲酒量を減らす、決まった時間に食事をするといった対処で効果が期待できる可能性もありそうです。
<参考文献>
Good sleep-time recovery is associated with a healthier diet and lower alcohol consumption
https://www.uef.fi/en/article/good-sleep-time-recovery-is-associated-with-a-healthier-diet-and-lower-alcohol-consumption
Järvelä-Reijonen E et al.,Sleep-time physiological recovery is associated with eating habits in distressed working-age Finns with overweight: secondary analysis of a randomised controlled trial. J Occup Med Toxicol. 2021 Jun 28;16(1):23. doi: 10.1186/s12995-021-00310-6. PMID: 34183032; PMCID: PMC8237494.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34183032/