自律神経の乱れにつながる現代的なストレスや生活の変化、長時間のスマホ。自律神経のバランスが崩れるとさまざまな不調に陥ることがわかってきました。順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生は「自律神経のバランスを乱さないことではなく、整える方法を知っていることが大切」と話します。小林先生の新著『結局、自律神経がすべて解決してくれる』からお伝えしていきましょう。
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腸内環境が整えば自律神経も整う
自律神経を整えるためにまず実践したいのが、腸を整えることです。
「“幸せホルモン”のセロトニンのおよそ95%は腸で作られていています。セロトニンは交感神経と副交感神経の2種類の神経を調節する働きを活性化させ、それにより心のバランスを整える作用があります。つまりは、腸が健康でいるとお腹の調子がよくなるだけでなく、自律神経も整い、“幸せ”を感じることもできてしまうというわけです」
最近、慶應義塾大学の研究チームによって、腸の情報がすべて肝臓に集まり、迷走神経を通じて脳へ伝わることが明らかになっています。また腸は人体を病気から守る免疫器官としてもっとも大きい役割を担っていて、免疫をつかさどる細胞の7割が腸に存在するといいます。腸はいわば「第二の脳」なのですね。
「腸を整え、よい血液を作り、自律神経を自発的に整えていくことが、心と体の健康を守るうえでとても大切なのです」と小林先生。
腸内環境を整える食生活は、食物繊維と発酵食品です。みそ汁や漬物など日本の伝統食には腸内環境によいということが、最近の研究でも明らかとなっていますので、洋食が多い人はできるだけ伝統的な日本食の回数を増やしてみるといいでしょう。
自律神経を整える3つの習慣
腸を整えること以外に自律神経によい習慣を見ていきましょう。
●週1回は良質な睡眠をとる
自律神経を整えるためには自然のリズムに沿って生活することが欠かせません。質のよい睡眠の確保は自律神経を整えるためにもっとも大切な要素です。忙しくて睡眠を犠牲にしている人は週1回だけでも「睡眠のための日」をつくり、リラックスして眠れる環境を整えるたり、睡眠のために仕事を早めに切り上げたりして、工夫してみましょう。
●1日に3食とる
1日3回食事をしっかりとるという意味ではなく、自律神経を整えるために大切なのは、腸を常に一定の勢いで動かしていることです。もっとも何かを摂取したいのは朝食。時間がないときでもみそ汁やヨーグルト、飲みものだけでも口に入れるようにしてください。
●呼吸を意識してみる
交感神経優位では、呼吸は浅く、速くなります。小林先生考案の自律神経を整える「長生き呼吸法」は鼻から3秒吸い、口から6秒吐くという1:2のリズムです。1日1分でいいので毎日続けてみましょう。
しばらくは社会情勢に伴い仕事や生活の変化も続きそう。なんらかの不調を感じているとしたら、それは「自律神経を整えよう」という体からのサインです。自律神経を整える習慣をとり入れ、小さな不調を解消していきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍
『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)