寝不足だと体だけでなく感情にも影響があることは、多くの人が経験的に知っているかもしれません。このたび海外の研究から、大学生の半数以上が昼間に過度の眠気を覚えているという結果になり、強いストレスやうつ症状を抱えている確率も高いと報告されました。女性で特に注意が必要だといいます。
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16〜25歳の1000人以上を調査
一般的に大学生は、思春期から大人への移行期にある体の変化に加えて、学業やキャンパスライフに伴う独特な生活パターンや感情的な問題から、睡眠の習慣に影響が出やすくなります。若い成人の理想的な睡眠時間は9時間と考えられているのに対して、大学生は平均7時間しか眠っていないという研究結果もあるそうです。そのため、睡眠障害に関連して、ストレスやうつ症状などのメンタル面の問題も多く報告されています。
そこで今回、ブラジル・マトグロッソ連邦大学の研究グループは、同大学で正規の授業数をとっている学生1000人以上(16〜25歳、半数が女性)にアンケート調査を行い、睡眠の質、昼間の眠気とうつ症状、ストレスとの関連性を分析してみました。アンケートでは社会経済的な背景や専攻分野などについても調べ、身長とBMIも測定しました。
睡眠障害があるとうつ症状が増加
一連の分析で確認されたのが、睡眠の質がよくない人が65.5%、昼間の強い眠気が見られた人も55%に上ったということ。さらにこの割合は女性で高いことがわかりました。また、睡眠の質が悪い、または昼間に強い眠気があると、中程度〜強度のストレス、うつ症状がある確率が2〜5倍になりました。
睡眠や眠気と専攻分野との関連性も見られ、生物学、健康科学、社会科学や人間科学を専攻する学生で強い影響が見られました。
こうした結果から睡眠の質とストレス、うつ症状は関連すると研究グループは結論づけています。睡眠障害は学業や学生生活に大きな影響を与えるため、成人初期に睡眠障害やほかの慢性病を発症しないためにも、研究グループは学生のQOL(生活の質)やメンタル面の健康を評価、モニタリングする必要があると指摘しています。関連性のメカニズムはわかっていませんし、メンタルの問題があるせいで睡眠の質が下がるのか、その逆なのかも含めて、一層の研究が期待されます。
<参考文献>
Ramos JN, Muraro AP, Nogueira PS, Ferreira MG, Rodrigues PRM. Poor sleep quality, excessive daytime sleepiness and association with mental health in college students. Ann Hum Biol. 2021 Nov 3:1-7. doi: 10.1080/03014460.2021.1983019. Epub ahead of print. PMID: 34544307.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/03014460.2021.1983019
Lack of sleep affecting students’ mental health especially women, says study
https://newsroom.taylorandfrancisgroup.com/lack-of-sleep-affecting-students-mental-health-especially-women-says-study/