減量ダイエットでよくあるリバウンドのような短期間の体重増減。これをくり返すことは「ウエイトサイクリング」とも呼ばれ、その健康に与える影響について睡眠の面から研究が進められています。このたび、およそ5kg以上の体重増減が一度でもあると、睡眠の質の低下や不眠症などの睡眠障害になるリスクが高くなると報告されました。ダイエット失敗の経験がある人など気をつけるとよいかもしれません。
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健康に思わぬ影響が?
美容や健康のためのダイエットに限らず、特に競技や役柄のために体重を調整するアスリートや俳優、摂食障害の人などでは、「ヨーヨー現象」とも呼ばれるウエイトサイクリングは問題になりやすいといいます。
女性を対象とした最近の研究によると、このウエイトサイクリングは心臓の健康によくないという結果も出ており、さらに、睡眠の質などとの関係についても関心を集めていました。
今回、米国コロンビア大学の研究グループは、アメリカ心臓協会(AHA)による女性向け心臓健康キャンペーンの一環として、ウエイトサイクリングと睡眠との関連性を調べてみました。対象としたのは、出産年齢から閉経後までさまざまな年齢(平均37歳)の女性およそ500人。一度に約4.5kg以上のウエイトサイクリング(妊娠を除く)がある場合と、研究開始時とそれから1年後の両時点で睡眠のいろいろな問題との関連性を分析しました。
回数が増えるごとに障害多く
ここからわかったのが、どちらの時点でもウエイトサイクリングが1回以上あると回答した人(全体の72%)は、まったくない人よりも睡眠に問題があることです。
ウエイトサイクリングの回数が増えるごとに、睡眠時間が短く、寝つくまでの時間が長くなっていました。さらに中途覚醒が増えて睡眠の質が低下し、不眠症が重くなっていました。睡眠薬の利用が増加することも確認できました。
ウエイトサイクリングが1回でもあると、さまざまなリスク(睡眠時間が短くなる、寝つくまで26分以上と長くかかる、睡眠の質が下がる、閉塞性睡眠時無呼吸になる、睡眠効率が85%以下に下がるなど)が高くなることもわかりました。
なかなか眠れないという人のなかでダイエットやリバウンドの経験が思い当たる人は睡眠の悩みを解決するうえで、ダイエットのやり方などを改善させるのもよいかもしれません。
<参考文献>
Cao V, Makarem N, Maguire M, Samayoa I, Xi H, Liang C, Aggarwal B. History of Weight Cycling Is Prospectively Associated With Shorter and Poorer-Quality Sleep and Higher Sleep Apnea Risk in Diverse US Women. J Cardiovasc Nurs. 2021 Apr 30. doi: 10.1097/JCN.0000000000000818. Epub ahead of print. PMID: 33938536.
https://journals.lww.com/jcnjournal/Abstract/9000/History_of_Weight_Cycling_Is_Prospectively.99187.aspx
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33938536/
Weight cycling linked to increased sleep problems in women
https://www.eurekalert.org/news-releases/560500