毎年やってくる花粉の季節。今年はコロナ対策としていつも以上にマスクをしっかりしている人が多いと思いますが、その一方で、花粉症の症状に悩まされたり経験したことのない症状を訴えたりする人が増えているのだとか。そこで今回は、じつは私たちが見逃しているコロナ禍での花粉症の盲点や、おすすめの花粉対策について、みなと芝クリニックの川本徹先生に教えていただきました。
Contents 目次
コロナ禍の花粉症、私たちが見逃している盲点とは?
<盲点1>コロナ禍ストレスで、花粉により敏感な状態に!
コロナ禍で、手洗いやうがい、マスク着用などの対策をみなさん非常によくされていると思います。これらの対策は、花粉症対策としてもいいことばかりのはずなのですが、花粉症の患者数が劇的に減ったという印象はありません。むしろ、コロナ禍で花粉症の症状が悪化しているケースが見られます。たとえば、もともと花粉症で顔周りがかゆくなりやすい人は、マスクを長時間着用することによって肌が過敏になり、いつもよりかゆみがひどくなってしまうことがあります。
また、コロナ禍での精神的なストレスから、あらゆる刺激に対してふだんより過敏になってしまっている人が増えています。これまでの花粉症に加えて、さらに違うアレルギーの症状(違う種類の花粉に対する花粉症も含む)を発症する例が増えました。
さらに便秘や下痢などを訴える人が多く、腸も過敏になっていることがわかります。このように、花粉症だけでなく、複数の悩みを並行して訴える人が増えています。これはコロナ禍
で環境の変化によるストレスが影響しているほか、家庭での時間が増えることで、飲酒や間食の量が増えたり、食事や睡眠の時間が不規則になったりなどの行動パターンの変化も影響していると考えています(川本先生)。
<盲点2>マスクによる口呼吸でアレルゲンを吸い込んでいる!?
コロナ禍になりマスク生活が日常化していますが、川本先生によるとじつは花粉などのアレルギーの原因となる物質をダイレクトに吸い込んでいる可能性があるとのこと。
「マスクを着用していると、息苦しさを感じて口呼吸になりがちです。鼻から息を吸い込むのであれば、花粉やホコリなどの異物は、繊毛や粘液によりある程度ブロックされます。しかし、口からの呼吸だとアレルゲン(花粉などのアレルギーの原因となる物質)がダイレクトに体内に入ってしまいます。体内に入ったアレルゲンは、腸でリンパ球と反応してアレルギー反応を起します。
じつはあらゆるアレルギーが発症する場所は、腸だということがわかっています。ですから、なるべく腸までアレルゲンが届かないようにすることが大切です。アレルゲンをダイレクトに吸い込む量を最小限にすることは有効な対策です。もうひとつ重要なことは、腸内環境を整えておくということです。そのために食事にも気を配ってください」。
<盲点3>不安や睡眠不足で免疫バランスが崩れる
コロナ禍で、なんだか不安になる、ストレスを感じるという人は多いでしょう。それに伴って、よく眠れないと訴える人がとても増えています。長期間巣ごもりやテレワークが続いているのですから、これは当然です。また、子どもにも同様の症状が増えています。これは自律神経の乱れによるもので、このような状態が続くと免疫システムのバランスが悪くなり、花粉症などのアレルギー症状も悪化してしまうのです(川本先生)。
コロナ禍だからこそ行いたい! 川本先生おすすめの花粉対策3選
コロナ禍によるマスク生活や自律神経の乱れから花粉症が悪化している人が増えていることがわかりました。では、このコロナ禍でどのように花粉対策を行っていけばいいのでしょうか。川本先生におすすめの対策方法を3つ教えていただきました。
<対策1>自律神経を整えるストレスマネジメントを心がける
自律神経を整えることで花粉症などのアレルギーの症状は改善します。それにはまず、生活習慣を整えることが大切です。コロナ禍のストレスは自覚しないまま、少しずつたまっていきます。家にこもりがちだと思ったら、できるだけ意識して体を動かすこと。そして、できる範囲で人とコミュニケーションをとるなどのストレスマネジメントを心がけましょう。
そうすることで少しずつ自律神経が整い、睡眠の質もよくなります。それに伴って免疫バランスも整います。
<対策2>鼻呼吸&早めの対策を!
花粉症対策では、アレルギーのもととなる花粉をなるべく吸い込まないようにすることが基本です。コロナ禍で定期的に換気をすると思いますが、必ずマスクをしっかり着用
して行いましょう。そしてなるべく口から吸い込まないよう鼻呼吸を意識するようにしましょう。また、花粉症対策は症状が出てからではなく、早くからとり組むことで効果が期待できます。年間を通じて行うこと(食事、睡眠、運動)に加え、症状を抑えるために早めに薬を飲み始めるなどの対策を併用しましょう。
<対策3>腸内環境を整える食事がおすすめ
アレルギーの原因は腸内で作られます。ですから、腸内環境を整える食事を心がけることは花粉症対策として大変有効です。腸にいい働きをする菌(プロバイオティクス)をヨー
グルトなどの発酵食品でとり、それらの働きを助ける食品(プレバイオティクス)も一緒にとるように心がけましょう。水溶性食物繊維の多いもの(オクラ、山いも、海藻、ごぼうに含まれる)、フラクトオリゴ糖(新玉ねぎ、トマト、バナナに含まれる)などがおすすめです。
フラクトオリゴ糖を手軽にとれる腸活レシピ
腸内でプロバイオティクスのエサとなって腸内環境を整える「フラクトオリゴ糖」。砂糖に近い自然な甘さが特徴ですがカロリーは砂糖の半分、さらに糖として吸収されないため血糖値を上げないなど、さまざまな健康効果が期待されています。そんなフラクトオリゴ糖と、さらに腸内環境を整える食品が一緒にとれるレシピを管理栄養士の豊田愛魅先生に教えていただきました!
新玉ねぎのヨーグルトサラダ
フラクトオリゴ糖が含まれる新玉ねぎとヨーグルトの乳酸菌を一緒にとることで相乗効果が期待できるレシピです。シンプルで常備しやすい材料で、いつもとはひと味違ったサラダが楽しめます。ヘルシーなうえ、たんぱく質もとれるので遅い時間の食事にも◎
【材料(2人分)】
新玉ねぎ…1個
黒こしょう…適量
パセリ…お好みで
<ドレッシングの材料(作りやすい分量)>
ツナ缶…1缶(70g)
プレーンヨーグルト…70g
しょうゆ…大さじ1
マヨネーズ…大さじ1
レモン汁…少々
【作り方】
(1)
新玉ねぎをうすくスライスして、5分ほど水にさらし、水気をしぼる。
(2)
ボウルにドレッシングの材料を入れてよく混ぜる(ツナ缶は、オイルや水気をしっかりきる)。
(3)
(1)を器に盛り、(2)をかけ、黒こしょうをふり、パセリを散らす。
トマトとアスパラガスの洋風味噌汁
トマトとアスパラガスでフラクトオリゴ糖がとれ、発酵調味料であるみそとも相性バツグンです。オリーブオイルが潤滑材としても働いてくれるので、腸内環境をトリプル効果で整えてくれます。
【材料(2人分)】
トマト(小)…1個
アスパラガス…1本
水…400ml
和風顆粒だし…小さじ1
みそ…大さじ 1/2
オリーブオイル…お好み
【作り方】
(1)
トマトはヘタをとり除き、8等分のくし切りにする。アスパラガスは根もとの固い部分を包丁で切り落とし、皮をピーラーでむき、斜めに1cm幅に切る。
(2)
鍋に水と和風顆粒だし、トマトを入れて中火で熱し、沸騰したらアスパラガスを入れて1分ほど煮る。
(3)
火を止め、みそを溶き、最後にオリーブオイルをかける。
スギ花粉の飛散はもうすぐ終わりを迎えますが、ヒノキはこれからピークになる見込みです。コロナ禍の今だからこそ注意したいポイントをしっかりと抑えて、毎年くるツラい花粉の時期を少しでもラクに過ごせるように対策をしていきましょう!
<プロフィール>
川本徹先生
みなと芝クリニック・院長。筑波大学医学専門学群卒業、筑波大学大学院医学研究科修了。「“ メスをとれる内科”たる外科医になれ」の教えの元、筑波大学附属病院の消化器外科で、内科医よりも内科的な外科医をめざす。筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師、米国テキサス大学 MD アンダーソン癌センター客員講師歴任後、現東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師、東邦大学医学部客員講師。2010 年みなと芝クリニック開院。消化器系をメインに内科から外科一般に加え、皮膚科、整形外科、肛門外科まで、幅広い診療を行なっている。日本外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本消化器病学会専門医。
豊田愛魅先生
管理栄養士。東京家政大学卒業後、オーガニックカフェでメニュー開発を行うかたわら、TV やラジオなどに出演。その後、美容業界のマーケティングにも携わる。「食を通した美と健康」を人にわかりやすく伝えることをモットーに、現在では TV 出演や書籍・コラムの執筆、セミナー、レシピ開発など幅広く活動。番組レギュラーコーナーにて、数々のレシピやアイデアで、芸能人の食生活を改善した実績を持つ。『ずぼやせ』(光文社)、『にんじんドレッシング健康法』(アスコム)『美人をつくる栄養レッスン』(朝日新聞出版社)など著書多数。
文/FYTTE編集部