耳鳴りは男女ともに現れる症状で、悩まされている人もいるのではないでしょうか。原因が判明していれば対処のしようがありますが、なかには原因不明であることもあります。今回、海外研究で、耳鳴りの原因のひとつとして、痛み止め薬の服用が関連していると報告されました。痛みや炎症などで薬を続けて使っている人で耳鳴りに悩まされている人は、知っておくとよいかもしれません。
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耳鳴りはなぜ起こる?
耳鳴りという症状は決して珍しいものではありません。周囲で音はしていないのに、耳のなかで音が発生するという症状をいいます。そんな耳鳴りは原因不明で治療が難しいこともあります。複数の原因が想定されていますが、そのひとつとして、「痛み止め薬を飲むこと」との関連が指摘されていました。
今回、米国の研究グループは痛み止めに使われる薬の服用と耳鳴りに本当に関連があるのかを調べました。対象としたのは30代~40代の耳鳴りのない女性およそ7万人で、2年に1回アンケートを実施。痛み止めの服用や耳鳴りの発症についての情報を収集し、分析したのです。
痛み止めを連日服用する人のリスクが上昇
一連の研究でわかったのは、痛み止めを頻繁に服用している人は耳鳴りを発症しやすいということです。
問題となる痛み止めのひとつは、アスピリンという薬です。低用量を服用しているときや、高齢である場合は問題ありません。ですが、60歳以下の人が中用量のアスピリンを週6~7回服用している場合に、週1回未満の場合よりも耳鳴りのリスクが18%上昇する結果が明らかになりました。
アスピリンを除く、NSAIDsと呼ばれる一般的に使われる痛み止めについても、週1回未満の服用にとどまる人と比べて、週に4~5日服用している人は耳鳴りのリスクが17%上昇し、6~7日服用していると7%上昇するという関連性が判明しました。また、アセトアミノフェンという痛み止めも週6~7回服用している場合は、1回未満の場合と比べて耳鳴りのリスクが18%上昇するという関連性が判明しました。
体の痛みを抑えたり、炎症を鎮めたりするために痛み止めを長期間、使う人はいるかもしれません。今回の研究によると、耳鳴りという困った症状につながる可能性があるようです。心当たりがある人は注意するとよいかもしれません。
<参考文献>
Curhan SG, Glicksman J, Wang M, Eavey RD, Curhan GC. Longitudinal Study of Analgesic Use and Risk of Incident Persistent Tinnitus. J Gen Intern Med. 2022 Feb 7. doi: 10.1007/s11606-021-07349-5. Epub ahead of print. PMID: 35132561.
https://link.springer.com/article/10.1007/s11606-021-07349-5
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35132561/